40周年『北斗の拳』キャラ・技・笑えるシーンも!原作にはなかった「アニメオリジナル」要素を振り返るの画像
ゼノンコミックスDX『北斗の拳【究極版】』1巻(徳間書店)

 2023年で連載開始から40周年を迎える武論尊氏、原哲夫氏による漫画『北斗の拳』。当時のテレビアニメでは珍しくないことだが、翌1984年10月から放送されたテレビアニメ『北斗の拳』は、原作漫画にはないアニメオリジナルの要素がふんだんに盛り込まれた、今見返すと制作現場の遊び心が伝わってくる作品でもあった。今回は原作漫画とは少し違う、テレビアニメ『北斗の拳』のオリジナル要素を、キャラ・ちょっと笑えるシーン・技の3つの視点から振り返っていきたい。

■アニメオリジナルキャラ

 テレビアニメ『北斗の拳』には、オリジナルのモブキャラも多く登場した。印象的だったのは、88話で登場した盗賊団のリーダー・コグレだ。聖飢魔IIのデーモン小暮閣下をオマージュしたと思われるこのキャラは、白塗りフェイスはさることながら名前をそのまま使うという大胆さで話題となった。

 84話に登場した拳王軍ダビデの手で生み出された戦闘マシン・グレンも、インパクトが強いモブだ。サングラスに無表情、強靭なパワーを持つ彼は、映画『ターミネーター』のアーノルド・シュワルツェネッガーの外見そのままである。戦闘スキルは高く、一時はケンシロウを追い込んでいた。 

 メインストーリーに絡んだオリジナルキャラといえば、4話から登場したトランプと南斗翔天拳の使い手・ジョーカーが欠かせない存在だろう。シンの参謀だった彼には揺るぎない忠誠心があり、冷静沈着でクールな男だった。

 ケンシロウを倒すべく正々堂々と戦い、シンにメッセージを伝えれば命は助けると言われたにもかかわらず、「情けはいらん。やれ」と潔く死を選んだのだ。

 次は、「修羅の国編」131話から登場したロック。アメリカの西部劇『荒野の七人』を彷彿とさせるカウボーイ集団のリーダーだった彼は、原作に登場したコセムの息子ということになっている。ラオウを救世主と信じていたため最初こそケンシロウに反発していたが、関わる中で考えが変わっていく。ただ、ロックは拳法が使えず戦闘に派手さはなかった。

■ちょっと笑えるアニメオリジナルシーン

 ちょっと笑えるシーンも、アニメ『北斗の拳』の見どころのひとつだ。たとえば、30話でのケンシロウと自称北斗神拳の使い手のモブキャラの絡みは見逃せない。

 ジャギから盗んだという北斗の拳を自慢げにケンシロウに叩き込み、こめかみを突くモブ。もちろん、「アチョー」や「お前はもう死んでいる」という決めセリフ付きだ。そんな彼に対しケンシロウは死ぬのは何秒後かと問う。

 モブは「10秒ってとこか。数えてやるぜ」と自らカウントダウンをし始め、0になった瞬間に自爆したのだった。表情ひとつ変えずこのコントのような流れを生み出すケンシロウはさすがとしか言いようがない。  

 46話に登場した「でかいババア」とのやりとりも印象的だ。拳王の手下が老婆に化けていたこの敵、原作では天井に頭をぶつけそうなほど巨大な老婆だったが、アニメ版では体格が小さくなっていて、かわりにヒゲが生えている。

 また、原作ではケンシロウが「おまえのようなババアがいるか」と突っ込んだが、アニメ版では「おまえのようなばあさんがいるか。どこの世界にひげを生やした女がいる」というツッコミに変わっている。  

 そしてこのシーン、よく見ると後ろにいた敵扮する3人の客の1人が80年代の人気アニメ『3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?』のタマのぬいぐるみを抱いているのだ。強面の手の中にすっぽり収まるタマに、クスリとする場面だった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3