『鬼滅の刃』や『ドラゴンボール』にも… リスク覚悟で“敵の特有な能力”を手にしたバトル漫画のキャラ3選の画像
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 修行や特訓など、バトル漫画において“強さ”を手に入れる方法はいろいろあるが、中にはリスクを承知で“敵の力”を手に入れようとするキャラもいる。

 そこには、絶対に勝ちたいという気持ちや生に対する執着があるが、そうした方法には当然リスクもある。それでも必死に力を振るう姿は、命を削っているかのようで美しい。そこで今回はバトルアニメに登場する、自らを犠牲にして“敵の特有な能力”を手に入れたキャラを紹介していきたい。

■『鬼滅の刃』鬼の肉を喰らう不死川玄弥

 吾峠呼世晴氏による『鬼滅の刃』(集英社)のアニメ版は、「刀鍛冶の里編」が終わり、そろそろクライマックスも近い。ラスボス・鬼舞辻無惨を倒すため、鬼殺隊が力を合わせて戦うことになるのだろうが、戦力面で不安なところもある。

 それが柱以外の存在……炭治郎を含めた同期のメンバーだ。彼らは高い実力を持っているとはいえ、やはり技術や経験では柱に劣るので、上弦の鬼に殺されないかヒヤヒヤしてしまう。中でも不死川玄弥は、他の同期と比べてもあまり強いとは思えない。

「全集中の呼吸」を使うことができず、刀ではなく銃を武器として使う……そんな印象が強い玄弥は、鬼殺隊の中でいろいろ劣っているのは明らかである。

 しかし彼は「鬼喰い」という特殊能力によって、鬼と同じ体質を一時的ではあるが得ることができる。これは周りと比べて劣る部分が多い彼が、少しでも強くなるために見つけ出した苦肉の策なのだ。

「鬼喰い」には副作用もあり、鬼化しているあいだは理性がうまく保てなくなってしまう。もちろん本人の身体にも相当の負担がかかっているはずだ。こうしたリスクがあってもその戦い方を続ける玄弥の姿は、もしかすると無様に見えるかもしれない。しかし覚悟の大きさが察せられるからこそ、その姿にきらめきを感じてしまう。

■『ドラゴンボール』魔人化の選択をとったベジータ

 鳥山明氏による『ドラゴンボール』(集英社)のベジータも、作中で敵特有の能力を手に入れたことがある。それは「フュージョン」のような合体能力ではなく、「魔人化」とも呼ばれるものだ。「魔人ブウ編」で、ベジータは悟空と戦うためにあえてこの選択をとっている。

 魔導師バビディは、ターゲットの邪心を利用することで力を底上げする能力の持ち主だ。それを知ったベジータは、あえてバビディの術中にはまることを選択。そして魔人化した後は、力が湧き上がるのを感じると同時に、残忍な心も取り戻し無関係な人間をたくさん殺してみせた。その姿には、「せっかくやさしいベジータになったところだったのに…」とガッカリしたものだ。

 魔人化がこれまでに足りなかった何かを補ってくれたようで、ベジータは力を惜しみなく出すことに成功。悟空とも互角の戦いを繰り広げている。すべては悟空と決着をつけるため……どんな手を使っても、ベジータは悟空に勝ちたかったのだ。

 魔人化には当然リスクもある。バビディの支配からは逃れられないということだ。しかしベジータは決して最後の誇りを失わず、必死に抵抗を続けた。最終的に、魔人化しても悟空に勝てないと悟ってからは、魔人ブウを倒すために自分の身を投げ打つのだ。悪いことを承知でおこない、その落とし前をしっかりつけるところもベジータらしい。

  1. 1
  2. 2