範馬刃牙、牙一族…獣の動きを参考に拳法に取り入れる、バトル漫画の「象形拳使い」たちの画像
ゼノンコミックスDX『北斗の拳【究極版】』1巻(徳間書店)

 バトル漫画にはいろんな武術や拳法の使い手が登場し物語を盛り上げるが、動物や昆虫などの動きを武術の技と組み合わせる「象形拳」もそのひとつ。

 人間にはない動きや能力を持つ獣や昆虫の特徴を活かすことが、戦いでも活路を切り開くことに繋がる。そこで今回は、獣や昆虫の動きを拳法に取り入れた象形拳の使い手を紹介していきたい。

■『範馬刃牙』範馬刃牙

 象形拳で誰もを驚かせた作品といえば、板垣恵介氏による『範馬刃牙』(秋田書店)での範馬刃牙ではないだろうか。

 刃牙は普段のトレーニングから象形拳に関係するものを取り入れていて、巨大なカマキリと戦うイメージを持つことで、昆虫や動物の力の凄さを実体験している。中でもゴキブリに注目をして獲得した「蜚蠊(ゴキブリ)ダッシュ」は、技の中でも最高峰のものだろう。

 そんな刃牙が1億9000年前の地層から蘇った原始人・ピクルとの一戦で見せたのが、誰も真似のしたことのない象形拳。それが、あの那須川天心が実際の試合で真似したことで有名にもなった「トリケラトプス拳」だ。まさか、現存しない恐竜を象形拳に取り入れるなど誰も思いつかない。

 しかし刃牙はまるで恐竜を見てきたかのように、その特徴をしっかりと掴んでいた。その結果、これまで恐竜と当たり前のように戦っていたピクルが、体格で半分にも満たない刃牙に圧倒されてしまう。象形拳によって刃牙は恐竜と同じ重量と攻撃力を再現していたのだ。しかもそれにアレンジを加えて、Tレックスやプテラノドンを合体させた合成獣のような象形拳を披露した。

 刃牙は作中の中でもトップクラスの象形拳の持ち主だが、範馬勇次郎も負けていない。象形拳の理想形として、誰も真似することのできない「勇次郎拳」を表現して見せた。勇次郎の動きをコピーするなど誰にもできないので、これは唯一無二の拳といっていいだろう。

■『GetBackers-奪還屋-』冬木士度

 原作・青樹佑夜氏、作画・綾峰欄人氏による『GetBackers-奪還屋-』(講談社)にも、象形拳を得意とするキャラが登場している。それが無限城で活躍していた「VOLTS」の四天王のひとりであるビーストマスターこと冬木士度だ。

 士度の主な能力は操獣術と百獣擬態の2つだ。百獣擬態が象形拳に当たるが、どちらかというと擬態に近い。人間の域を超えた力を発揮し、作中だけで10種類以上の獣を再現していた。

 そんな士度の強さが分かるのが、主人公・美堂蛮も苦戦を強いられるほどの強敵である不動琢磨との戦いだろう。不動は義手の左腕に長い爪を仕込み、3秒先を見通せる「サトリ」の能力の持ち主。「鹿王擬」によって武器の爪を破壊し、「屍鳥擬」で死の気配を感じ取り、未来を読む相手の動きを予測。それによって不動を倒したのだった。

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