■暗殺を通じて学びを与える『暗殺教室』の殺せんせー
最後は松井優征氏の漫画『暗殺教室』より、タコ型の宇宙人のようなインパクト大の外見をした超生物である主人公・殺せんせー。椚ヶ丘中学校の最底辺クラス3年E組の担任として突如赴任し、「来年の3月までに自分を殺さないと地球を破壊する」というとんでもない課題を生徒たちに伝えた。
物理攻撃がほぼ効かない最強の存在ながら物腰は非常に柔らかく、教師としてのスキルが極めて高い殺せんせー。暗殺を通じて様々な知識や経験を積ませ、落ち込ぼれと言われていた生徒たちを成長させていく。
命がけの絆は次第に深まっていき、お互いに対する信頼も増していった。殺せんせーは授業の中で多くの名言も発しており、彼の言葉が胸に響いたという読者も多かったのではないか。
名シーンはやはり卒業の場面だろう。二代目と戦ったことで満身創痍になっている殺せんせー。暗殺者としては、とどめを刺す絶好のチャンスだ。せんせーは、抵抗を感じている生徒たちに対し「わかりませんか?殺し時ですよ」と促す。そして、決心した生徒たちに笑顔を向け最後の出欠を取った。
生徒たちへの「私の命に価値を与えてくれたのは君達だ。君達を育むことで君達が私を育んでくれた。だからどうか今、最高の殺意で収穫して欲しい。この28人の未来への糧になれたなら…死ぬほど嬉しいことだから。幸あれ」というメッセージには、殺せんせーの愛と想いがすべて詰まっている。殺せんせーとの思い出がフラッシュバックし、見ているこちらも涙が溢れた。
胸に秘めた熱い思いや自分以外の人に対する心からの優しさ。はっちゃん・イカルゴ・殺せんせーといったタコがモチーフになったキャラクターたちは、そういった人間らしさや深い愛情を持ち合わせている。タコキャラ=良いやつが多い説が立証されたといってもいいのではないだろうか。