『ドカベン』賀間剛介に『MAJOR』おとさんも…「ホームランの日」に振り返る“野球漫画で印象的だったホームランシーン”の画像
少年サンデーコミックス『MAJOR』第2巻(小学館)

 熱戦が繰り広げられた夏の甲子園では、なんと107年ぶりに慶応高校が優勝を果たした。そして、決勝戦では史上初となった丸田湊斗選手の“先頭打者ホームラン”も印象的だった。

 さて、本日9月3日は「ホームラン記念日」だ。1977年に王貞治さんが756号ホームランを放ち、メジャー記録を抜いて世界記録を更新している。ときに戦局を大きく変えるホームランは、やはり野球の醍醐味といえるもの。そこで、野球漫画のなかでとくに印象的だったホームランシーンを紹介していこう。

■「バッティングは腕力だぜ」バントをホームランにした『ドカベン』賀間剛介

 まずは、水島新司さんの『ドカベン』に登場する、甲府学院の賀間剛介だ。賀間は主人公・山田太郎率いる明訓高校と秋の関東大会一回戦で激突する。

 彼は柔道一筋で中学校時代には山田に勝利したほどの実力者だったが、ケガをしていた山田に対して本当の決着をつけたいと、なぜか野球部へと入ることになる。

 それにしても、この賀間はワイルドだった。エースとして登場するのだが、ダイナミックな投法ながらその腕力を活かした“砲丸投法”で、とてつもなく重いボールを放り投げる。これには明訓打線も大苦戦を強いられていた。

 しかし、賀間の本領はやはり打者だろう。1年生ながら明訓のエースである里中智の球は、素人では簡単に打つことなどできない。そこで賀間はなにか悟ったかのようにバントの構えをするのだ。あんな巨体でバントを?と不思議に思ったものだが、それは普通のバントではなかった。

 バットを引いて狙いを定めながら押し出す感じでボールに当てた賀間。打球は伸びていき、結果、スタンドへ……なんとホームランとなった。「腕力だ!! バッティングは腕力だぜ」と、王さんでは言いそうにないセリフを放っていたな。

 あれ? そういえばコイツはヘルメットすら着用していない。連載時はヘルメットの着用は義務化されていなかったのか……。まあ規格外の男だし、主審も注意をしようものなら腕力で投げ飛ばされてしまったかもしれないな。

■まさかの悪球をスタンドへ! プレーボールホームランとなった『大甲子園』岩鬼

 次は、これも水島新司さんによる『大甲子園』の“悪球打ち”が得意な岩鬼正美だ。彼の真骨頂といえる悪球打ちのシーンはいくつかあるものの、筆者的には青田高校の好投手・中西球道から放ったホームランが印象深い。

 岩鬼たち主力が3年生となり、最後の夏の甲子園では準決勝で明訓高校と青田高校が対決することとなる。白熱した試合で延長再試合となり、その幕開けでホームランを狙う岩鬼。

 ここまで数々の記録を打ち立ててきている球道は、不敵に笑みを浮かべながらなんと岩鬼の頭へめがけて剛速球を放り投げる。驚いた岩鬼は咄嗟にバットを盾に後方へのけ反り、ボールは頭ではなく無事にバットに当たった。

 その際、岩鬼は後方へ宙返りしてしまうほど、この球道のボールには威力があった。う〜ん、危ないな。と思いきや、バットに当たった打球が伸びる伸びる……。「岩鬼はよけただけだぜ」と球道も唖然。

 白球はそのままレフトスタンドまで運ばれ、なんとプレーボールホームランとなった。このとき、レフトの選手が「だは」とか言いながら、なぜか宙返りのようにひっくり返っているのがユニークだったが、それほどびっくりだったのだろう。

 それにしても、この岩鬼も怪物だ。「わいでなきゃ あの世へ行っとるとこやで」と吐き捨てるのだが、いやいや……本当に高校生なのか?

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