■強すぎる肉体がもたらした“飢餓”という災厄…「装甲惑星(アーマープラネット)」
別の星と聞くと、やはり気になるのは我々が住む地球とどれくらい似通った環境を持っているのかという点だろう。地球を基準とすることで、その星が我々にとって住みやすいか否かが自ずと見えてくるものだ。
コミックス3巻「装甲惑星(アーマープラネット)」は、地球とよく似た環境を持つ惑星だ。気候も安定しており、非常に住みやすい星に思える。事実、この星では3000年も昔に人工衛星の打ち上げに成功するなど、高度な文明が栄えていた。これだけを聞くと魅力的な環境に思えるが、やはりこの星にも地球とは違う奇妙な特徴があったのだ。
それは、この星の人間や動物は皆、肉体が強固な“装甲(アーマー)”に覆われて生まれてくるというもの。一見するとロボットが暮らす星に見えるが、皆、生まれたままの自然体だというのだから驚いてしまう。
肉体が丈夫であることはメリットにも思えるが、この星の生物たちからすれば“天敵”がおらず、我々の惑星では当たり前である“食物連鎖”が崩壊してしまっている。どれだけ自分より弱い生き物を食べようとしても、誰も彼もが“装甲”に肉体を守られているため、そう簡単にはいかないのだ。
こういった背景もあり、人も動物も次々と餓死……。種がどんどん滅びる恐ろしい事態へと発展してしまった。その結果、現在ではほんのわずかな住人を除いて植物が生い茂る星へと変貌しつつある。
食べるものはなく、“装甲”を身に着けた強固な生物と植物しかない世界……我々のような脆弱な生き物が暮らしていくには、あまりにも難がある星といえるだろう。
『銀河鉄道999』には数々の奇妙な惑星が登場するが、なかでも今回紹介したものはどれもこれも人間が住むことが到底できそうにない、非常に過酷な環境のものばかりである。
未知の世界に足を踏み入れることもSFのロマンの一つだが、宇宙には常に我々が想像しえない危険な環境も待ち構えているということだろう。