『地獄先生ぬ〜べ〜』や『バトルフィーバーJ』にも…昭和を震撼させた都市伝説「口裂け女」が登場する作品たちの画像
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 怪談話やホラー映画にたびたび登場する「都市伝説」の存在……。なかでも根強い人気を誇るのが「口裂け女」だろう。恐ろしい逸話をいくつも持つ口裂け女だが、漫画や特撮作品にはこの異形の存在をモチーフとしたキャラクターたちも登場している。そこで、口裂け女がモデルとなり、生み出されたキャラクターの数々について見ていこう。

■都市伝説の「口裂け女」とは?

 起源については諸説あるものの、「口裂け女」が巷で語られ始めたのは1970年代、昭和の時分。あくまで都市伝説での存在ではあるものの、当時は小中学生を中心に瞬く間に噂が広まり、これが理由で集団下校をおこなったり、パトカーが出動するなどの問題にまで発展している。

 基本的に口裂け女は、夜中に現れるとされている。スレンダーな女性で口を大きなマスクで覆っているのが特徴だ。そして、こちらに向かって「私、綺麗?」と問いかけてくるのだが、これに対し「綺麗」と答えると、マスクを外し耳元まで裂けた口を見せ「これでも?」と、再度問いかけてくるという。

 見た目や行動にはさまざまなパターンがあり、質問に対し「綺麗じゃない」と答えると、手に持った凶器で斬りつけられるか、あるいは命を奪われてしまうという恐ろしい噂もあった。また、彼女を肯定した場合も、“笑って去っていく”、“追いかけてくる”など、地域によってその結末はさまざまなようだ。

 彼女の口が裂けてしまった理由や、撃退する方法についても多種多様な噂が飛び交っており、昭和を代表する都市伝説の存在として絶大な知名度を誇る。

 ちなみにこの都市伝説が生まれた理由も、“塾をさぼるために少年たちがついた噂が広まった”、“子どもが帰宅途中に寄り道することを防ぐために大人たちが作り上げた”など、さまざまな説が飛び交っている。

 時代を経てもなおホラー作品などでは非常に有名な存在で、世代を超えて語り継がれる「都市伝説」といえるだろう。

■死してなお悪霊として苦しみ続ける三姉妹…『地獄先生ぬ〜べ〜』口裂け女三姉妹

 口裂け女はその性質上、ホラーテイストなエンタメ作品にはたびたび登場しているが、1993年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、真倉翔氏と岡野剛氏のタッグ作品『地獄先生ぬ〜べ〜』でも、主人公・鵺野鳴介こと「ぬ~べ~」らを苦しめる存在として立ちはだかった。

 本作に登場する口裂け女は都市伝説とほぼ同じ特性を持っているが、そこに“妖怪”の要素が加えられたことで、より恐ろしい存在として描かれている。

 本作に登場する口裂け女は、なんと三姉妹である。“犬神憑き”の呪いによって動物霊に憑りつかれた影響から、凶悪な存在に変貌してしまったのだ。もともとは美しい顔立ちをした美人姉妹だったが、呪いによって世間から差別を受けたことで自殺してしまい、浮遊霊を経て悪霊と化してしまったという。

 姉妹ごとに生まれ持った霊力には差があるようで、とくに長女・ほのみはもっとも強い霊力を持つことから自我が残っており、動物霊に憑りつかれる前の美しい姿を保っている。

 ぬ〜べ〜の力をもってしても動物霊の怨念を払いきることはできず、最終的には姉妹の安住の地である屋敷と土地を買い占めることで、彼女らを守ることとなった。

 都市伝説上の存在というよりも、世間の悪意によって人生を狂わされ、死してなお動物霊によって害を与える存在になってしまったなんとも悲劇的なキャラクターだ。

 なお、ぬ〜べ〜に助けられてからは姉妹揃って彼への深い恩義を感じており、以降も彼の見舞いに訪れるなど、無害かつ愛嬌のあるキャラクターとして再登場を果たしている。従来の都市伝説と“妖怪”の要素をミックスすることで、新たな解釈を生み出したキャラクターたちである。

■都市伝説と特撮のまさかのコラボレーション…『バトルフィーバーJ』口裂け怪人

 ホラー要素の強いエンタメ作品にたびたび現れる口裂け女だが、意外なことに特撮作品にも形を変えて登場している。

 1979年にテレビ朝日系列で放映された『バトルフィーバーJ』こそ、意外な形で口裂け女が姿を現した作品である。

 本作は『秘密戦隊ゴレンジャー』のように五人組のヒーローグループという要素を引き継いでいるだけでなく、戦隊ヒーローものにおいてはじめて“巨大ロボ”やそれをサポートするメカの存在を際立たせたことでも有名だ。

 特撮作品のお約束として、本作にも世を脅かす“怪人”が数多く登場するのだが、口裂け女のテイストをこれでもかと詰め込んだのが、第29話に登場する「口裂け怪人」である。

 マスクを身につけた美人として姿を現し、「私、美人?」と質問をしてくるあたりは、本家の口裂け女と同様だ。しかし、本作ではマスクを外した途端に怪人としての本性を現し、人々を恐怖のどん底に突き落とす。

 見た目が恐ろしいのはもちろんのこと、口裂け女の特性を上手く怪人の能力にも反映しており、“100mを6秒で走り抜ける”という脅威の身体能力や、飛ぶように空中を移動する姿も披露している。

 また、ヒーローたちを相手取るだけの戦闘能力を持ち合わせており、武器を受け止め破壊するほどの固さを持つ“歯”や、包丁のようなディティールの巨大な武器も使いこなす。

 バトルフィーバー隊に追い詰められると、最終的には自分そっくりの見た目を持つ「口裂けロボット」を呼び出すなど、特撮戦隊ものの“お決まり”ともいえる活躍を見せつけた。

 本作の放映時期は口裂け女がブームとなった1979年であり、そのタイムリーさから大きな話題を呼んだ。都市伝説の不気味さはそのままに、戦隊ヒーローと戦う怪人へと変貌させてしまった、意外かつ恐ろしいキャラクターである。

 

 昭和に空前のブームを巻き起こし、今もなおオカルト上の存在として根強い人気を誇る口裂け女。恐ろしい見た目とおどろおどろしい噂に恐怖してしまう一方で、それをモチーフとしたさまざまなテイストのキャラクターが生み出されているのは、実に興味深い点である。

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