ゲーム自体の難易度よりも…「操作性こそが最大の敵」だったファミコンソフトの画像
ファミコン『アトランチスの謎』(編集部撮影)
『アトランチスの謎』懐かしのゲーム画面

 ファミコン時代には、今では考えられないほど攻略が困難な高難易度ゲームが存在した。開発者しか分からないレベルの謎解きが仕掛けられていたり、シビア過ぎるアクション操作が必要だったりと難しさもさまざま。この記事では、その中でも「操作性の悪さ」が最大の敵だったファミコンソフトを紹介しよう。

■一番操作しづらいファミコン版『テトリス』

 言わずと知れた、世界的に有名な名作パズルゲーム『テトリス』だが、1988年にBPSから発売されたファミコン版は微妙にやりづらいテトリスでもあった。

 ゲームシステム自体は、数種類の形をしたブロックを回転させ、隙間なく並べて消していくといういつものテトリスなのだが、操作性が悪いために難易度が爆上がりとなっていた。

 ファミコン版『テトリス』は、Aボタンでブロックを一気に落とす「ハードドロップ」、十字キーの下ボタンが「ブロック回転」となっている。

『テトリス』といえば、翌1989年に発売されたゲームボーイ版が国内販売本数424万本という大ヒットを記録。AボタンとBボタンでくるくると「ブロック回転」させ、下ボタンで「ハードドロップ」する、後の『テトリス』と同じシステムが採用されており、こちらでルールや動かし方を覚えたというプレイヤーは多かったはず。

 そのため、ゲームボーイで慣れ親しんだ後に、この操作が全く逆となるファミコン版『テトリス』に触れた人は混乱必至だろう。真下にブロックを落としたいのに回転させたり、または回転させたいのに下に落としてしまったり、非常にイライラさせられてしまう。

 またこれはファミコン版だけでなく、古い『テトリス』では珍しいことではなかったが、どこに落ちるかのガイドとなる「ゴーストブロック」が無く、背景も真っ暗な点も改めてプレイするとやりづらい要素の1つだ。

 ゴーストブロックが実装されていない上に背景にグリッド線も無いため、ハードドロップの際に、列を間違えるミスが誘発されてしまう。この仕様もあって、ファミコン版『テトリス』は、数ある『テトリス』ソフトの中でも難易度が高いバージョンとなった。

■唯一無二のジャンプ操作『アトランチスの謎』

 操作性が最大の敵だったファミコンといえば、『アトランチスの謎』(1986年/サンソフト)も有名だろう。本作のジャンプの“クセ”は、ファミコン時代のムリゲーを語る上で、今でも頻繁に話題に出される。本作を攻略するには、いかに独特なジャンプ感をマスターするかにかかっている。

 カプコンの『魔界村』と同じく、十字キーでジャンプの軌道を微調整するといったことができず、そのうえ、ボタンを押している時間によって飛ぶ距離が変わる。事前にどこに飛ぶかを距離と方向を見極め、それに応じてボタンを押している時間を調節する必要がある。

 ステージには敵が襲ってくるのはもちろん、制限時間が決められている箇所もある。微妙な段差を越えないといけないときに、この微妙な動きのぎこちなさがネックになってくる。

 また操作性の他にも、即死ステージや、あえて爆弾で自爆することで進むワープなど、様々な理不尽要素が満載だった『アトランチスの謎』。ファミコン時代のソフトの中でもトップクラスに難しかったゲームと言っても間違いはないだろう。

■自機がノッポ過ぎる『ドラゴンズレア』

 最後に紹介する『ドラゴンズレア』(1991年/EPIC)は、主人公を操作し、ジャンプやしゃがみ、武器攻撃を駆使してステージを進んでいくという横スクロールアクションゲームだ。そう書くとオーソドックスなアクションゲームなのだが、こちらもかなり理不尽な操作性が採用されている。

 まず主人公の動きが非常にもっさりしており、予備動作によるラグを計算して操作しないと、タイミングが大きくずれてしまう。特にジャンプのモーションは、「よいしょ」といった具合にひざを曲げてからジャンプをするため、通常のアクションゲーム同様の感覚で飛ぶと反応が大きく遅れてしまう。ジャンプの軌道が途中で変えられないのも不便だ。

 主人公のサイズ感も難易度を上げている要素のひとつだ。横の大きさは小さな敵と同じか2匹分くらいの大きさだが、キャラがデフォルメされておらず背が高く、マップの1/3程度を占めている。また狭い洞窟を抜けねばならないステージも多く、そのときは主人公が非常に窮屈そうに歩くことに。全身に当たり判定があるため、敵の攻撃を避け切るのがほぼ不可能なのだ。

 そういった操作性でかなりシビアなアクションを必要とされており、ファミコンソフトの中でも屈指の難易度となっている。

 とはいえ、1991年というファミコン後期に発売されたソフトでもあり、そういった様々な部分を犠牲にして表現された、主人公のヌルヌルと動くリアルなアニメーションは必見である。

 以上、操作性の悪さが最大の敵だったファミコンソフトを3作品紹介した。テレビゲームが世に出始めた時代ならではの、洗練されていない感じの操作性。その粗削りさがゲームの進化を感じさせて、むしろ今となっては愛おしく感じる。

『アトランチスの謎』懐かしのゲーム画面