憑依!うり二つ!圧巻の再現度!? 昭和の名作漫画の実写化作品に出演していた大物俳優たちの画像
花とゆめCOMICS『ガラスの仮面』第1巻(白泉社)
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 2023年11月23日から劇場映画『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』が公開される。本作は魔夜峰央さんのギャグ漫画を実写化した映画『翔んで埼玉』の続編で、前作では主演のGACKTさんと二階堂ふみさんが「漫画のキャラそのものだった」と多くのファンを唸らせた。

 近年、漫画・アニメ・ゲーム(=2次元)を原作とした3次元の舞台コンテンツを「2.5次元(ミュージカル)」と呼び、それを受けドラマや映画でも「2.5次元俳優」として多くの若手俳優が注目を集めている。だが、2.5次元ブームよりも以前、演劇界の重鎮たちが名作漫画の「登場人物」を演じ、原作ファンや視聴者を驚かせていたのだ。

 そこで今回は、圧巻の再現度や意外な配役だった大物俳優たちを、実写化した昭和の名作漫画とともに紹介したいと思う。

■「おそろしい子!」奇跡の再現率にファン騒然!? 野際陽子さんが演じた月影先生

 まずは1976年より連載が続く『ガラスの仮面』は舞台演劇をテーマに描かれた少女漫画の実写ドラマ。本作は1997年にテレビ朝日系でテレビドラマ化。原作者・美内すずえさんの指名により、当時15歳だった安達祐実さんが主人公・北島マヤに起用されたことが注目されたが、多くの視聴者が「激似っ!」「完全に本人!」と口をそろえて驚いたのが野際陽子さんが演じた月影先生(月影千草)だった。

 月影先生は幻の名作『紅天女』を演じた唯一の人物であり、その演技力や美貌から一目置かれるも舞台事故で顔に傷を負い女優生命を断たれてしまう。そのため作中では黒く長い巻き髪で火傷痕が残る右顔を隠し、黒いロングドレスに装飾付きの杖を携えたかなりインパクトある姿。漫画寄りなキャラクターを姿形だけ真似てもコメディになりがちだが、ウィッグや衣装を着けた野際さんは間違いなく「月影先生」そのもの。筆者もリアルタイムで視聴していたが、マヤへの厳しい指導をはじめ、大仰なセリフや突飛な行動のどれもが、野際さんが演じることで"本物"の月影千草へと転換されていた。

『家なき子シリーズ』をはじめ子役時代から絶大な知名度を持つ安達さん、数々のドラマに出演していた実力派女優・野際さんが揃った本作は、まさにこの時代だからこそ実現できた奇跡のキャスティングでもあった。

■超A級スナイパーとは寡黙繋がりだった『ゴルゴ13』デューク東郷…高倉健

 1968年より連載されたさいとう・たかをさんの『ゴルゴ13』は、超一流のスナイパーで寡黙な殺し屋・デューク東郷ことコードネーム「ゴルゴ13(略称・G)」の活躍を描いた劇画作品。さいとうさんが2021年に他界した後もさいとう・プロダクションが連載を続け、2023年7月には209巻が発行された日本でも屈指の長寿漫画だ。

 本作は1973年に高倉健さん主演で実写映画が公開されている。高倉さんと言えば、昭和40年代前後に多くの任侠映画に出演した他、後に『ブラック・レイン』や『鉄道員 (ぽっぽや)』で国内外のファンを魅了し続ける俳優。ゴルゴとは「寡黙」という共通点はあるものの、当時の高倉さんはドスのような日本刀が似合う役柄が多かった。そんな高倉さんが主演に起用された理由は、作者であるさいとうさんが「主役(ゴルゴ)は高倉健を起用すること」などの条件を制作会社に出し、これら全てが実現したからだという。

 なお1977年にも実写映画『ゴルゴ13 九竜の首』が公開されており、そちらで千葉真一さんが演じたゴルゴは「劇画」っぽい迫力があった。

■五郎が次元でベンジャミンが銭形警部?『ルパン三世』次元大介…田中邦衛

 2014年に小栗旬さん主演で話題となった劇場映画『ルパン三世』。それより40年前となる、1974年に『ルパン三世 念力珍作戦』のタイトルで既に実写映画が公開されていた。

 ルパン三世を俳優の目黒祐樹さん、次元大介を『北の国から』で愚直な父親・黒板五郎が当たり役だった田中邦衛さん、銭形警部を『電線音頭』のベンジャミン伊東で一世を風靡した伊東四朗さんがそれぞれ担当。私見だがルパンは田中さんのイメージだったが、謎の殺し屋として『長崎は今日も雨だった』など多くのヒット曲を持つ歌手・前川清さんが名を連ねるなど、本作は奇抜なキャスティングでもあった。

■アフリカを愛する困った教授を怪演!『動物のお医者さん』漆原教授…江守徹

 最後に紹介するのは、佐々木倫子さんの漫画『動物のお医者さん』を原作としたテレビドラマ(2003年)。

 原作は、札幌にあるH大学獣医学を舞台に、獣医師を目指す主人公・西根公輝(ハムテル)らの日常を描いたコメディ漫画。作中で登場したシベリアン・ハスキー「チョビ」の可愛さも相まって、当時ハスキーブームを巻き起こすほどの影響力を与えた。

 そんな本作のドラマ化では、主演の吉沢悠さんをはじめ、二階堂を要潤さん、大学の先輩・菱沼さんを和久井映見さん、ハムテルの祖母・タカを岸田今日子さん、オペラ歌手の母を真矢みきさん、ダンディな菅原教授を草刈正雄さんなど豪華なキャストが勢ぞろい。なかでも、多くの視聴者を驚かせたのが江守徹さん演じる漆原教授だろう。

 ハムテルたちが通う大学の漆原教授は「破壊神」と呼ばれるほど大雑把な人物で、ドラマ第1話では大好きなアフリカの仮装で登場するが、ここで既に江守さんは「漆原教授」そのものとなっていた。さらに、漆原教授の迷言(?)のひとつ「君は将来獣医になる!」を稲妻エフェクトを背負い断言する姿は、まさに原作漫画そのもの。また、雑でいい加減な言動で学生を困らせるもどこか憎めない漆原教授という人物を、江守さんが怪演していた。

 ちなみに、原作で漆原教授が賭けていた「カシオミニ」が、10年後のドラマで「電子辞書」にグレードアップしていたのが個人的に面白かった。

 アニメや漫画を実写化した際、まるでそのキャラが乗り移ったような俳優を「憑依型」と称するようだ。今回紹介した大物俳優たちの誰もが、さまざまな演技で私たちを魅了してくれた。次はどんな名優たちが憑依するのか楽しみだ。

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