『ジョー・モンタナ フットボール』に『オリンピックゴールド』も…! 斬新でやり込み甲斐があった“メガドライブのマイナースポーツゲーム”の画像
メガドライブ『オリンピックゴールド』

 1988年に発売された『メガドライブ』(セガ・エンタープライゼス 現:セガ)。後年発売された『スーパーファミコン』に押され気味となってしまうのだが、メガドライブには熱中できたスポーツゲームが多くあった。野球やサッカーといったメジャースポーツではなく、マイナースポーツを取り扱ったゲームが面白かったのもメガドライブならではといえるだろう。

 そこで、知名度は今ひとつでもやり込み甲斐のあったメガドライブのマイナースポーツゲームを紹介していこう。

■アメリカンフットボールのルールを覚えられた! 『ジョー・モンタナ フットボール』

 まずは、1991年3月に発売された『ジョー・モンタナ フットボール』(セガ)だ。NFLのスーパースターでもあるジョー・モンタナを冠しており、もちろんアメリカンフットボールのゲームだ。ちなみに、筆者は翌年に発売された『ジョー・モンタナll スポーツトークフットボール』もプレイしている。

 前方にパスをすることやタッチダウンなどのルールは、ハリウッド映画に登場するワンシーンでほんの少しは知っていた。だが、インターネットもない当時、アメリカンフットボールの細かなルールまでは分からないし、実は「ジョー・モンタナ」という名前すら聞いたことがなかった。ただ、彼の素晴らしい笑顔を収めたパッケージに惹かれて購入したものだ。

 プレイするまでは勝手に“ラグビーのアメリカバージョン”と思っていたほどで、このゲームではじめて、オフェンス時は10ヤードを進まなくてはならないということを知った。

 しかし、なぜかハマってしまったのも事実。自然とルールを覚えられるし、続編の2にいたっては、よく喋る実況やフォーメーションが選択できるというのも面白かった。実際のNFLを観たことがなかったこともあり、戦術の意味は今ひとつ分からなかったが、ディフェンス時に相手のQBを潰すのに燃えた。

 日本ではマイナースポーツの粋を出ていないようだが、このゲームのおかげでアメフトのルールを覚えることができ、周囲に自慢できたものだった。

■アーチェリーや飛び込みでも遊べるのが珍しかった『オリンピックゴールド』

 1992年の7月に発売されたのが『オリンピックゴールド』(セガ)だ。同時期に開催されたバルセロナ五輪に合わせて発売され、当時陸上部だった筆者にとって興味深いゲームだった。

 ゲームはオリジナルの7種競技の得点を争うもので、「100m走」「ハンマー投げ」「アーチェリー」「110mハードル」「棒高跳び」「飛び込み」「200m競泳(自由形)」となっている。このラインナップを見て、まずアーチェリーと飛び込みがあることに驚いたものだ。

 ゲームの操作もなかなか難しい。100m走なんてボタン連打でなんとかなりそうなものだが、このゲームは一味違う。コントローラーに3つあるボタンのうち、2つを交互に連打しなければいけないのだ。交互に連打するのが意外にも難しく、好タイムがなかなか出なかった。

 また、ハードルや棒高跳びの場合はもう一つのボタンも押さなくてはならず(棒高跳びは十字キー操作も必要)、『ハイパーオリンピック』(コナミ)のようにはいかない。

 さらに、飛び込みも難しかった。タイムや飛距離ではなく表現になるし、現実の大会でもどうすれば高得点になるのかがあまり理解できなかったので、高難易度の種目だった。

 もちろん、ある程度慣れてくれば金メダルも取れるようになるのだが、そこまで辿り着くまでに力尽きるプレーヤーもいただろう。

 ただ、前年の東京で行われた世界陸上でカール・ルイスとマイク・パウエルが世紀の名勝負を繰り広げた「走り幅跳び」が、なんとゲームには収録されていない。バルセロナ五輪でも大接戦で注目されていたのだが……これはちょっと残念だったな。

■発売時期がK−1ブームの前で残念だった? 『ザ・キックボクシング』

 最後は、1993年1月に発売された『ザ・キックボクシング』(マイクロワールド)だ。キックボクシングをタイトルに持ってきているのは珍しく、格闘技ファンなら思わず手に取りたくなっただろう。

 このゲームは技を選択できるのが素晴らしい。十字キーの斜めとAボタンを組み合わせた技を13種類登録できる。そして、Bボタンで必殺技も可能だ。キックボクシング特有の蹴り技も「前蹴り」「後ろ回し蹴り」「かかと落とし」「ハイキック」など多彩で、バックブローなどのパンチも複数あり、その数は55種類と非常に豊富だった。

 動きにスピーディーさがないのは残念だが、それも当時のゲームなら仕方ないこと。なにより、キックボクシングをゲームでプレイできること自体が嬉しかったものだ。

 筆者も友達を家に呼んで対戦に燃えていたのだが、どの友人も「キックボクシングって何か地味」と言ってのける。確かにボクシングと違って、まだテレビ中継もなかった。

 惜しまれるのはこのゲームが発売された当時はキックボクシングの人気が今ひとつで、のちに大ブームを巻き起こす「K−1グランプリ」の開催前だったことだろう。少なくともピーター・アーツが大活躍した翌年以降に発売されていたら、友人の評価も変わっていたのかもしれないな。

 

『メガドライブ』で発売されたマイナースポーツゲームを紹介してきた。どのゲームも知名度は高いわけではないのだが、当時燃えたプレーヤーは筆者だけではないだろう。あの当時の熱中した記憶を再現できるマイナースポーツゲームにまた出会いたいものだ。