■こんなに面白い下品アニメ、自由奔放なのがウリ?
久保保久さんの『よんでますよ、アザゼルさん。』も過激な要素が多い作品である。一見するとかわいらしいキャラたちが繰り広げるギャグ漫画のように見えるが、主人公の悪魔・アザゼル篤史は淫奔(いんぽん)という能力を持っており、非常に下品だ。
作品自体はテンポよく、ツッコミどころの多さも魅力。モザイクとピー音が多用されたハイテンションな展開には、つい笑ってしまう。また、明らかに某有名探偵ドラマ&漫画をパロディしたアニメ2期の7・8話「龍神湖殺人事件」など、いつだって見飽きることがない展開は疲れた時に見るのにピッタリだ。1話15分と短めなのも嬉しい。
また「下品アニメ」の枠では『おそ松さん』も忘れてはいけない。ご存じ赤塚不二夫さんの漫画『おそ松くん』を原作とするアニメで、2015年から3期にわたって放送された。松野家のおそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松の6つ子が、20歳を過ぎても定職につかずニートになった姿が描かれる。
それぞれ違った性格を持つ6つ子は、ギャンブルに溺れたり親のスネをかじる気満々だったりと、揃いも揃って「クズ」ばかり。作品内でも、お互いがお互いの足を引っ張り合う様子がよく見られる。
ブラックなネタも目立つ本作だが、蓋を開けてみればこれが若い女性を中心に大ウケ。人気声優の起用や、時折登場する「F6」というキャラクターデザインを大きく変えたイケメン姿など、ヒットした理由は多々ある。しかし一番は、それぞれの個性が愛すべきキャラクターとして確立されたためではないだろうか。実際、本作は実写映画化や舞台化、パチンコ化など多くのメディアミックスも果たしている。
「下品」という非難を集めたものの、それを凌駕するほどの魅力で高く評価されたアニメ作品たち。頭を空っぽにして思いっきり笑いたいときに視聴して、元気をもらってみてはいかがだろうか。