アニメには幅広いタイプの作品があり、なかにはその過激さから「下品」と評価されてしまうものもある。そうした作品は当然賛否は分かれるものの、ハマる人はとことんハマってしまうことも少なくない。また単に「下品」なだけでなく、細部にこだわりが見られたりキャラが魅力的だったりと、よくよく観てみればしっかり作りこまれているというケースも。
そこで今回は、当初は“ちょっと下品”と言われつつも、結果的に高い評価を集めた作品たちを紹介していこう。
「下品」というワードから、国民的アニメの『クレヨンしんちゃん』を思い浮かべる人は少なくないだろう。本作は今でこそ幅広い世代に愛され、野原一家が埼玉県春日部市の「子育て応援キャラクター」として活躍するなど、日本で知らない人はいないと言ってもいいほどの名作となっている。
しかしアニメ放送が開始された1992年当時は、しんちゃんの「ぞうさん踊り」などの下ネタ要素に、保護者から“教育上よろしくない”との声が寄せられることもあったようだ。最近のアニメ放送においてしんちゃんのぞうさん踊りは見られなくなったが、おバカなドタバタ劇は健在だ。しんちゃんをはじめとした子どもたちが自由奔放に振る舞う姿を見ていると、思わず微笑ましい気持ちになってしまう。
また、とくに劇場版『クレヨンしんちゃん』は家族愛や友情といったテーマが前面に出されており、「笑いあり涙あり」「子どもはもちろん大人も楽しめる」と評価する声も多い。単に「下品」という言葉では片付けられない、奥深い魅力を持った作品なのである。
そもそも臼井儀人さんによる原作漫画は、もともと青年誌である『漫画アクション』(双葉社)で連載されていたこともあり、みさえとひろしの夫婦生活や世界情勢、および日本社会を皮肉ったエピソードなども描かれていた。そのうちに現在のようなホームコメディに路線変更がされたが、当時のエピソードのファンも多い。
続いては、2010年に放送されたガイナックス制作のアニメ『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』。本作はカートゥーン風の絵柄や演出が多用された、落ちこぼれ堕天使のパンティとストッキングのゴーストとのドタバタバトルを描いた作品だ。
本作はとにかく、放送コードギリギリのセクシーシーンや下ネタが多用されていることで知られる。主役のパンティとストッキングの奔放な性生活に加え、変身シーンは自身の下着やストッキングを脱いでそれを武器とする。このときキャラの頭身が格段に高くなり絵柄がガラッと変わるため、ネット上では「逆作画崩壊」と話題になった。
何を隠そう、同作はきわどい内容だがそれ以上に作画、演出、主題歌どれをとっても一級品。洋楽や洋画のパロディも多く、見ていて思わず「フフッ」とにやけてしまうものばかりだ。
とくに第10回放送第22話の「HELP!二人はエンジェル」は、 TeddyLoidさんによる作品の世界観を表した楽曲「D City Rock feat. Debra Zeer」のPV風映像がまるまる流れるというもので、KISSやビートルズ、レディー・ガガなど人気洋楽のパロディも多く挿入され、話題となった。
細かいネタを探すだけでも楽しい本作。2023年7月には新プロジェクト『NEW PANTY AND STOCKING』の始動も発表され、ファンは大盛り上がりしている。カートゥーン好きや洋楽好きはぜひチェックしてみては?