『ゴルゴ13』や『銀河鉄道999』にも…意外と知られていない? 漫画タイトルに使われている“数字”の本当の意味の画像
ビッグコミックス『ゴルゴ13』第204巻(小学館)

 今年で連載55周年を迎えた、さいとう・たかをさんの『ゴルゴ13』だが、本作のようにタイトルに“数字”が含まれた作品も少なくはない。今回は、さまざまな漫画タイトルの“数字”に秘められた、意外な思惑や意図、背景を見ていこう。

■まさに“死神”にふさわしいネーミング…『ゴルゴ13』

 冒頭でも触れた『ゴルゴ13』は、1968年から『ビッグコミック』(小学館)で連載が開始された、さいとうさんを代表する作品だ。その連載期間の長さから、2021年には「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネスにも認定されている。

 本作は最強の殺し屋・ゴルゴ13ことデューク東郷が、その超人的な身体能力と狙撃の腕前で、さまざまなターゲットを仕留めていく。バトル描写のみならず、社会情勢や国家間の問題などにも鋭く切り込んでおり、さいとうさんの高い画力も相まって、リアリティ溢れるハードボイルドな作品となっている。

 さて、本作のタイトルでもあり、デューク東郷のコードネームとなっている「ゴルゴ13」だが、この“13”という数字の由来について、新約聖書に登場するイエス・キリストに荊の冠をかぶせて殺した13番目の男が由来となっているのでは?と語られる場面が、作中で登場している。

「ゴルゴ」についてははっきりと明らかにされていないが、イエス・キリストが十字架に磔にされた場所、「ゴルゴタの丘」から来ているという説もあるようだ。ちなみに、本作のタイトルには“茨の冠をかぶった骸骨”のイラストが添えられているのだが、これは前述のイエス・キリストのエピソードに由来しているという。

 また、数字の由来については作中でほかにも語られており、デューク東郷の囚人番号が“1214”だったことから、その間の“13”という不吉な数字と、独房の通称が「ゴルゴタの棺桶」だったことに由来する……という説も登場している。

 いずれにせよ、イエス・キリストが処刑された地名と、“13”という忌むべき数字を組み合わせた不吉なコードネームだと言えるだろう。多くのターゲットの命を奪ってきた“死神”のような男にとって、まさにうってつけともいえる名前だ。

■壮大なSFロマンがそこにある…『銀河鉄道999』

 1977年から『少年キング』(少年画報社)にて連載された松本零士さんの『銀河鉄道999』は、主人公・星野鉄郎が“銀河超特急999号”に乗り、ヒロインである美女・メーテルとともにさまざまな惑星を旅していくSF作品だ。

 本作は宮沢賢治さんの『銀河鉄道の夜』や、モーリス・メーテルリンクさんの『青い鳥』といった数々の作品から着想を得ており、さらに松本さんがかつてSLに乗って東京に赴いた体験が組み込まれ、オリジナルの“銀河鉄道”が生まれることとなった。

 本作のタイトルには、鉄郎らが乗り込む銀河超特急の“999”が使われているが、この数字の意味が作中に登場することはない。

 実はこれには、作者である松本さんの特別な思いがこもっていた。作品の映画化にともなうインタビューのなかで松本さんは、『銀河鉄道999』『宇宙海賊キャプテンハーロック』『クイーン・エメラルダス』『新竹取物語 1000年女王』といった作品群はすべて同じ世界線で描かれる一本の物語であり、そして『銀河鉄道999』の“999”には“未完成”という意味合いが込められており、物語が終わったとしてもまだ次がある……すなわち、新たな“駅”が存在するという前提で、このナンバーを選んだのだと真実を明らかにしていた。

 各作品ごとの世界観を繋げ、そのうえで作品タイトルの数字にも特別な意味合いを持たせるという、想像力と緻密な構成に脱帽してしまう。鉄郎とメーテルの果てしない銀河の旅を象徴する、実に深い意味を込めた数字だろう。

  1. 1
  2. 2