なぜ百式は金ピカに…? 『ガンダム』シリーズに登場するモビルスーツの「色」に隠された秘密の画像
バンダイのプラモデル「MG 1/100 百式Ver2.0」(C)創通・サンライズ

 1985~86年放送の『機動戦士Zガンダム』で初めて登場したモビルスーツ「百式」は、金色に輝くカラーリングが特徴だ。ガンダムシリーズの全モビルスーツの中でも特に目立つ機体だが、その金色はビームコーティング効果のあるエマルジョン塗装が施されたものだという設定だ。しかし、耐ビームコーティングという点に関して言えば、他の金ピカではない機体にも施されていることがある。果たして、百式が金色である必要性はあるのだろうか?

■宇宙空間で最も有効な迷彩は金色!?

 普通に考えると、暗い宇宙空間では黒が一番目立たないのではないかと思われるが、実は金色、そして白も、同じく目立たないという説が存在する。

 宇宙は大部分が黒く見えると思われがちだが、そこには無数の星があるので、視界の全面にわたって光の点が散らばっているイメージだとも考えられる。そういった環境下では、星のカラーに近い白や金色の場合は、星の光に紛れて逆に目立たないのではないかと思われる、という説だ。

 この説には一定の説得力があるのではないだろうか。機体に迷彩塗装を施す一番の目的は、モビルスーツが目視によって発見されるのを防ぐためである。そして、遠過ぎる機体は目視不可能であり、近くの機体はどんな色であっても一目瞭然だろう。

 とすると、迷彩塗装が一番機能するのは、近すぎず遠すぎない距離、つまり、機影がはっきり見えるようになる前の、機体が点に見える距離感だと考えられる。
 機体が点に見えた時、一番目立たない色は何色だろうか。そう考えると、黒などの暗い色はもちろんだが、白や金色、もしくは黄色系の色もまた目立たないのでは、と想像できる。

 それらの色は、運悪く相手の視界に入ったとしても、動く光の点だと認識されることになる。

 宇宙空間で動く光の点といったら、人工衛星や信号灯といった人工物のほかにも、彗星などである可能性も否定できず、それらとの識別には慎重な確認作業が必要となるだろう。そういう意味では、金色も宇宙空間での迷彩に適した色だと言えるのではないだろうか。

■黒の思わぬ弱点とは!?

 動く黒い点には光を発さない隕石などがあり、迷彩効果としては白や金と同等と考えられる。しかし、黒には弱点が存在するのだ。

 そもそも黒という色が「なぜ黒く見えるのか」というと、可視光をほとんど吸収してしまうからである。そして、光を吸収するということは、熱も吸収するということだ。つまり、熱を効率よく吸収する色なのである。これは兵器に重要な排熱の観点からすると、最も不利な色ということになる。対して白や金色は光を反射する色であり、つまり熱を吸収しない色というわけである。

 このことから、同等の迷彩効果だとしても、実は黒系よりも、白や金色の方が兵器としてのモビルスーツの迷彩には理にかなっている色なのではないかと考えられるのだ。

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