■ヤンキーの世界から格闘技のリングに上がった柴千春
板垣恵介氏による『グラップラー刃牙』(秋田書店)には、いろんなタイプの格闘家が登場するが、中には一般人まで戦いに参加している。そんな意外性ナンバーワンのファイターが柴千春だ。
暴走族「機動爆弾巌駄無(ガンダム)」の総長という肩書をもち、努力は一切せずに根性だけで全てを乗り越えようというスタイルの柴。格闘技に関しては完全なる素人だが、相手が輝かしい称号を持っていたとしても関係ない。自分の意思を貫くことだけで戦うのだ。
地下最大トーナメントに参加した千春は、1回戦で柔道家・畑中公平に投げられてもポケットに両手を突っ込んだままで受け身も取らず。そして左腕を折られ、「ここからは地獄だぞ」と降参を促された場面でまさかの行動を取る。なんと、折れた腕を自ら叩きつけてぐしゃぐしゃにしてしまったのだ。
これまでヤンキー漫画では死をも恐れぬキャラたちが数多く登場してきたが、格闘技の世界に現れるとこうも異質なものなのかと驚かされる。畑中に情けをかけられた柴は怒りに沸いたのか、左腕が効かない状態のまま気迫を押し通し顔面で頭突き。度胸と根性だけで乗り切って勝ってしまった。
千春に戦略や計算などなく、純粋に「漢とはこうあるべき!」というものを体現しているのだ。あのまま突っ走っていったら破滅しかないが、だからこそ惹かれてしまうキャラである。
以上3人を紹介したが、改めて振り返るとそれぞれが恐怖を超越したタイプのようにも思える。誰にも真似できない、そのリスク度外視の生き方にゾクゾクとしながらも惹かれてしまう読者は多いのではないだろうか。