『週刊少年ジャンプ』(集英社)で1979年から連載がはじまった、ゆでたまご(原作:嶋田隆司氏、作画:中井義則氏)による『キン肉マン』。2023年の今年、アニメ放送40周年を記念して新シリーズの制作が発表され、往年のファンが沸き立っている。
当時からすさまじい人気を誇っていた本作だが、単行本第1・2巻にあたる初期と「超人オリンピック」が始まる第3巻以降で、設定や雰囲気が少し変わったのを覚えている人も多いのではないか。今回は、連載初期に見られた“今ではちょっと考えられない設定”を3つ紹介していこう。
■キン肉マンは手や足からビームを出していた
作中では、悪魔超人や完璧超人などを相手に、数々の死闘を繰り広げてきたキン肉マン。現在も「超神」と名乗る天界の神々とリングで戦っており、相手が“神”であっても、基本は肉体同士がぶつかるプロレス技で戦っている。
しかし初期のころのキン肉マンは、両腕をクロスさせて発する「キン肉フラッシュ」というビームを出していた。『ウルトラマン』の「スペシウム光線」の例もあるため、手からのビームはまだ理解できるのだが、当初は足から放つ「キン肉ビーム」という技もあった。
空中で坐禅を組むような格好をして重なった足からビームを出すというもので、ずいぶん窮屈な格好に見える。とはいえ「キン肉ビーム」は怪獣を退治するために開発されている技で威力もかなりあり、さらに当時の主題歌「キン肉マン Go Fight!」にもこの技名が登場するほどメジャーなものであった。
しかし、これらのビーム技はいつの間にか消えてしまう。もしもキン肉マンがビームを出し続けていたなら、悪魔六騎士のプラネットマンと戦ったときなど、土星の輪っかを投げてくるのに対抗してビームを放てば瞬殺だったかもしれない……?
■キン肉マンはニンニクで巨大化していた
続いては「巨大化」について。初期のころのキン肉マンは、しょっちゅう巨大化していたのを覚えている人も多いだろう。記念すべき第1話「宇宙怪獣襲来の巻」から巨大化していたし、その後はネス湖のネッシーと巨大化した姿で対峙したことも。
40m級の地底怪獣・フランキーとの闘いでは、相手と同じくらいの大きさになり、先に挙げたビームを放つなどド派手なバトルを繰り広げていた。
そして、この巨大化をするためには「ニンニク」が必要だった。『スーパーマリオブラザーズ』なら「キノコ」に相当する巨大化用アイテムといったところだろうか。ニンニクはスタミナ食品だから、わかるといえばわかるのだが……。
ちなみに作中ではキン肉マンだけではなく、ロビンマスクやカナディアンマンなども巨大化した姿を披露している。
■テリーマンは“金の亡者”だった
連載当初とキャラ設定が変わったのは、主人公・キン肉マンだけではない。テリーマンが良い例だろう。第3巻にて、キン骨マンの銃撃からキン肉マンを守ろうとして足を撃たれ、左足が義足となるなど、友達思いでいいヤツのイメージだが、初登場当時はなんともイケ好かない“金の亡者”だった。
日本の総理大臣を助けた際は、「それではビジネスといきましょう」「タダで命を守ってくれる物ずきがいますか」といってお金を要求したり、怪獣に襲われた子どもから助けを求められた際には、「マネーのほうはもってきたんだろうね!」と言い放ち、小銭しか持っていないとわかると、容赦なく足蹴にしたほど……。
現在は、正義の味方としての印象が強いテリーマンだが、初期のころを知るとあまりの豹変ぶりに驚いてしまう。