『あずきちゃん』は秋元康!武田鉄矢に古舘伊知郎、まさかの多才ぶりを見せた「意外な人がやっていた漫画の原作」の画像
講談社コミックスなかよし『あずきちゃん』第1巻(講談社)
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 2023年春に放送のアニメをきっかけにコミックス累計1200万部を超える大ヒットを記録した原作・赤坂アカさん、作画・横槍メンゴさんの漫画『【推しの子】』のように、漫画の制作が原作者と作画担当で分かれているものは少なくない。分業により、それぞれのプロフェショナルな技術が光り、いっそう作品のクオリティが上がるため、漫画の世界では昔から多くとられている手法だ。

 そして、この原作担当を芸能関係者や芸能人が務めることが稀にある。今回は、意外な人が手がけていた漫画の原作を紹介したい。

 まずは、1992年から1997年まで『なかよし』(講談社)で連載されていた『あずきちゃん』。作画は木村千歌さん、原作はAKB48グループなどのプロデューサーや作詞家として知られる秋元康さんだ。

 小学5年生の野山あずさ(あだ名はあずきちゃん)が転校生の小笠原勇之助に恋をしたり、クラスで過ごす日々をほのぼのとしたタッチで描いた作品で、原作でのみ描かれた、中学生に進学した際には2人の男の子の間で揺れることもあった。

 NHKの『衛星アニメ劇場』にて1995年から放送されたアニメでは、RAZZ MA TAZZの歌うオープニング曲「素敵な君」のメロディが今でも耳に残っているという人は多いだろう。

 同作はまさに少女漫画の王道のような内容なので、原作が秋元康さんと知って驚いた人は多そうだ。しかし、これまで数々のヒット作を生み出してきた秋元さんが登場キャラの少女の心をここまでリアルに理解して表現し、それが読者にも共感され支持されるものとして世に出されるということには妙に納得ができる。

 続いては、1986年から『少年ビッグコミック』(小学館)で連載開始した『お〜い! 竜馬』の原作を務めた武田鉄矢さん。海援隊のリーダーであり俳優である武田さんは、高校時代に読んだ司馬遼太郎の小説『竜馬がゆく』に影響を受けてから、大の坂本龍馬ファン。これまで俳優としても、坂本龍馬に関する役を多く演じてきた。

『お〜い! 竜馬』は作画を『あずみ』で知られる小山ゆうさんが手がけ、坂本龍馬の幼少期からをフィクションを交えて描いた作品。龍馬ファンである武田さんならではの丁寧な龍馬の描き方で高い評価を得ているが、当初、小山さんと担当編集者との間では、坂本龍馬が主人公の物語ではなく、岡田以蔵が主人公の短編漫画を描く企画が持ち上がっていたという。

 話の行き違いから龍馬が主人公となったが、結果的にはアニメ化されるほどの知名度の高い作品となった。

 2021年に俳優業を再開したピエール瀧さんも漫画の原作を務めていた過去がある。ピエール瀧原作の『虐殺! ハートフルカンパニー』と『樹海少年ZOO1』はどちらも作画を漫・画太郎さんが手がけた。カオスでナンセンスな世界観の作品で、漫・画太郎さんはもともと電気グルーヴのファンだったという。

 最後はフリーアナウンサーである古舘󠄁伊知郎さん。1984年に小林よしのりさん作画の『おーっと、フル・タッチ!』を、1985年には国友やすゆきさんの漫画『スープレックス山田くん』の監修を務めている。

 どちらも自身の大好きなプロレスをモチーフとしており、『おーっと、フル・タッチ!』は自伝的内容でもある。芸能関係者が漫画原作を手がける際は、自身の強みの部分を題材にすることが多いようだ。

 表舞台に立つだけでなく、多才な才能を見せる芸能人たち。このほか、お笑いコンビ品川庄司品川祐さんが「品川ヒロシ」として原作を手がけた漫画『ドロップ』『漫才ギャング』はいずれも映像化されている。

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