■「弱いカマキリほどよくしゃべる」 

 シンはケンシロウが生きていることを知ると、腹心たちをケンシロウにぶつけてくる。彼らは「このダイヤ様はスペードなどとは格がちがう」「このクラブ様の前にのこのこでてくるはずがねぇ」とそれぞれ名前を名乗っているが、ケンシロウはそれを覚える素振りも見せず。目と口の回りにヘヴィメタ風にメイクを施したダイヤは「くまどりやろう」、鉤爪を武器にするクラブは「カマキリ」呼ばわり。巨漢のハートについては名乗る隙もなかったが、「ブタ」とストレートすぎる呼び方だった。

 この中でもあまりにも辛辣な言葉を浴びせられながら痛い死に方をしたのがクラブ。ケンシロウは「弱いカマキリほどよくしゃべるようだな」とクラブの拳に秘孔をついて破壊。指の骨が全部飛び出てしまったクラブにさらに追い討ちをかけると、背中の秘孔をつき「あと一分でおまえの背骨は筋肉の張力に負け ふたつに折れる」と宣言。シンの情報を聞き出した後は、用済みとばかりに命乞いするクラブの顔を踏みつけ「一度でも命ごいをしている人間をたすけた事があるのか」と、そのまま去って行くのだった。どこまでも「目には目を歯には歯を」を実行しているケンシロウ。雑魚キャラたちは、救いようのないクズにしか見えないのだろう。

 ケンシロウが悪人に向かって放つセリフは、北斗神拳以上のダメージを与えそうなものばかり。戦いだけではなく、ケンシロウの毒舌もまた『北斗の拳』の魅力のひとつであることは間違いないだろう。

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