備え持った特殊な感覚で“霊”や“妖怪”といった目に見えない存在を察知し、交信や対話ができる「霊能者」。往年の漫画作品にも、そのような能力を兼ね備えた女性キャラが数多く登場している。そこで、今となっては少し珍しい“女性霊能者キャラクター”を見ていこう。
■高いポテンシャルを秘めた“イタコギャル”『地獄先生ぬ~べ~』葉月いずな
1993年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載が開始された『地獄先生ぬ~べ~』は、原作担当の真倉翔氏と作画担当の岡野剛氏がタッグを組んで送るオカルト・ホラーをテーマとした学園アクション作品だ。
主人公の教師・「ぬ〜べ〜」こと鵺野鳴介が霊能力や“鬼の手”を用い、さまざまな幽霊・妖怪に立ち向かっていく本作には、彼以外にも霊能力を有したキャラクターたちが登場している。
なかでも、のちに彼女メインのスピンオフ作品が登場するほどの人気キャラだったのが、14歳でありながら霊能力を使いこなす葉月いずなだ。
“イタコギャル”の肩書を持ついずなは秋田から上京してきた女子中学生で、竹筒の中にいるくだ狐を使って情報収集や占いを行う。霊力自体はぬ〜べ〜にまだまだ遠く及ばないものの、人間に擬態している玉藻の正体を一瞬で見抜いたりと、潜在能力の高さが随所で発揮されていた。
特殊な経歴を持つ彼女だが、そもそも上京の理由は当時のオカルトブームに乗り、霊能力で“金儲け”をする……というものだった。
作中では目論見通り「霊能力アイドル」として芸能界デビューを果たすも、子どもに憑りついた悪霊を払いきることができず、結果的にぬ〜べ〜に助けられる形となり、未熟さを痛感。登場初期は生意気な態度が目立っていたものの、数々の失敗を経て精神的にも成長し、最終的にはぬ〜べ〜のように命がけで人々を助ける気概を身につけていく。
先に挙げたスピンオフ作品『霊媒師いずな』シリーズでは、学生としてだけでなく“イタコ”として成長した姿を披露していた。女学生と“イタコ”という奇妙な組み合わせでありながら、実に頼もしい“霊能”キャラクターである。
■ゴーストスイーパーの原動力は“お金”?『GS美神 極楽大作戦!!』美神令子
前述したいずなのように、身につけた霊能力をお金稼ぎに用いるキャラクターも漫画作品にはしばしば登場する。
1991年から『週刊少年サンデー』(小学館)で連載された椎名高志氏の『GS美神 極楽大作戦!!』の主人公・美神令子も、お金に凄まじい執着を見せるキャラクターの一人だ。
悪霊や妖怪の退治を生業とする“ゴーストスイーパー(GS)”の活躍を描く本作において、令子は若干20歳ながら、世界最高クラスの実力を持つGSとして数々の難事件に立ち向かっていく。
令子は亜麻色のロングヘアと美貌、抜群のスタイルを兼ね備えた美女で、さらに巨額の資産を持ち合わせているセレブだ。なんでもそつなくこなす姿には隙がなく、天才肌な人物と言えるだろう。
だが、その性格はかなりアクが強い。プライドが高くわがままなひねくれ者で、他者を見下した“ドS”な一面も目立つ。そのうえ、彼女はお金に対し人一倍強い執着心を見せる。
作中ではメインキャラの一人・おキヌを幽霊時代に“日給30円で24時間働かせていた”というエピソードも登場していたが、堂々と「力が正義ではない!! お金が正義よ!!」と言い放つなど、お金のためなら手段を選ばない極度の守銭”だ。
霊能者として最高峰の実力を有していながら、徹底した“拝金主義”を貫くなんともインパクト大なキャラクターだ。