■『ロボット8ちゃん』
続いては『ロボット8ちゃん』について紹介しよう。1981年に、フジテレビ系列の「東映不思議コメディーシリーズ」として放送された作品だ。先の2作品がテレビ朝日系列だったので、テレビ局を鞍替えした形となる。
少し教育的要素もあった前の2作品に比べ、『ロボット8ちゃん』はフジテレビの意向もあったのかバラエティー色が強めだ。「8ちゃん」という名前もフジテレビの8チャンネルが由来である。しかし、ちょっとドジなロボットが人間社会でドタバタ劇を繰り広げるという基本コンセプトは引き続き変わらない。
主人公の8ちゃんは、ある日突然宇宙の彼方から落下してきたロボット。宿敵バラバラマンに追い回されながら、子どもたちや仲間たちとともににぎやかな日々を過ごしていく。
ちなみにバラバラマンは、当時の中高年サラリーマンの悲哀を感じさせるキャラクターで、悪役でありながら結構人気になった。エンディング曲『赤い夕陽のバラバラマン』は、今聴いてもかなり渋くてかっこいい曲だ。ぜひ一度聴いていただきたい。
■『バッテンロボ丸』
最後に紹介するのが、1982年に放送された『バッテンロボ丸』。「東映不思議コメディーシリーズ」の2作目になる。
主人公はロボ丸。宇宙で迷子になり、ホームランボールがおへそに直撃して地球へ墜落してしまったロボットだ。人間のお宅にお世話になるも、やはり毎回ドタバタ劇を巻き起こす。
ロボ丸は体の形が8の字で、先の『ロボット8ちゃん』に続きフジテレビの8チャンネルという要素が組み込まれているのも面白い。そんなコミカルな見た目ではあるが、『バッテンロボ丸』は前の作品と比べ、かなりヒーロー的要素が強い作品となっている。主人公自ら正義の味方を名乗っているし、バッテンボーという専用武器を使う。さらにはバッテンバイクや空飛ぶマントなども使え、明らかに前の3作品とは毛色が違っていた。
実は同じ年に、東映では「メタルヒーローシリーズ」第1作目となる『宇宙刑事ギャバン』という、男の子向けの本格的な特撮ヒーローものが作られ始める。その一方、こちらの「東映不思議コメディーシリーズ」は『バッテンロボ丸』の次回作が「特撮ペットもの」になり、それ以降も「魔法少女シリーズ」など、女の子がメインターゲットの番組作りになっていく。『バッテンロボ丸』はちょうどこの過渡期の作品だったのだ。
この二極化により、結果的に立ち位置がなくなってしまったのだろうか。残念ながら、『がんばれ‼ロボコン』からはじまった「等身大ロボット特撮ドラマ」はその役目を終え、ここで一旦幕を下ろすことになる。
今回は、子どもたちに愛された「等身大ロボット特撮ドラマ」を4作品紹介した。
『バッテンロボ丸』で一旦終了した「等身大ロボット特撮ドラマ」だったが、視聴者や制作サイドにも根強い人気があったのであろう。その後、リメイク版として1999年に『燃えろ‼ロボコン』がテレビシリーズとして復活、2020年には『がんばれいわ‼ロボコン ウララ~!恋する汁なしタンタンメン‼の巻』が劇場版として公開されている。
久しぶりに復活したロボコンは、動力源を太陽光にしたり、ドローンモードが追加されたりと、現代版にアップデートされていた。次に復活する特撮ロボットたちは、どんな進化を遂げて帰ってきてくれるのだろうか。非常に楽しみだ。