東映の「等身大ロボット特撮ドラマ」をご存じだろうか? 昭和の時代には、親しみのある等身大ロボットが活躍するコメディドラマが放送されていた。社会事情を強く反映した脚本や、当時最新の特撮技術を取り入れた番組作りで、子どもたちを中心に大人気になった。
そこで今回は、子どもたちに愛された「等身大ロボット特撮ドラマ」4作品を紹介する。
■『がんばれ‼ロボコン』
まず1つ目に『がんばれ‼ロボコン』を紹介していこう。本作はロボットのヒーローが注目され始めた時代に、いち早くロボットを主人公にした特撮コメディとして知られる。『仮面ライダー』や『サイボーグ009』で知られる石森章太郎(石ノ森章太郎)さん原作、東映制作で1974年からNETテレビ(現・テレビ朝日)系列で放送開始された。「等身大ロボット特撮ドラマ」の歴史はここからはじまったと言えるだろう。
それまでのロボットのイメージは『マジンガーZ』のような、強くてかっこいいもので、『ロボコン』のようにコミカルで親しみのある存在ではなかった。しかしそこがまた良かったのか、一旦放送が始まると子どもたちを中心に大人気となり、視聴率はうなぎのぼりになる。
『がんばれ‼ロボコン』のストーリーは、ロボット学校に通っているロボットたちが、A級ロボットを目指して人間社会で成長していくというもの。主人公であるロボコンは劣等生のG級ロボットで、毎回周囲を巻き込んでドタバタ劇を繰り広げる。
本作はコミカルな内容で子どもたちに勇気や友情を伝えるだけでなく、時には社会風刺なども盛り込んだ作品だった。最終回118話「メデタリヤ!ロボコン村は花ざかり!!」はロボコン村を建設する話なのだが、ここにも高度成長に伴い遊び場がなくなり、道路で遊ぶ子どもの交通事故が多発したという悲しい社会的背景が投影されていた。最後には村を完成させ、ロボコンがその村長となって番組が終わる。惜しまれつつの最終回となった。
■『ロボット110番』
次に紹介するのは『ロボット110番』。『がんばれ‼ロボコン』の好評を受け、後番組として1977年より放送された。
主人公はガンガラガンちゃん(通称ガンちゃん)というちょっとドジなロボット。前番組は「ロボット学校」がテーマだったが、本作では生みの親である博士の夢の実現を目指し、世のため人のために働いて稼ぐという「お金もうけ」がメインテーマだ。
やる気はあるけど失敗ばかりのロボットが、周囲の人間や仲間のロボットを巻き込みドタバタ劇を繰り広げる。物語の基本構成は『がんばれ‼ロボコン』からそのまま引き継ぐ形だ。ガンちゃんの声優を、『ドラゴンボール』の孫悟空でお馴染みの野沢雅子さんが担当しているのも面白い。長いキャリアの持ち主である野沢さんだが、『ロボット110番』が唯一主演を務めた東映特撮ドラマだそうだ。
ガンちゃんは、次に紹介する『ロボット8ちゃん』の第3話「僕は悪い子 怪ロボット」という回にも姿を見せる。しかしそこでガンちゃんは、なんと故障で動かないロボットとして登場するのだ。もう会えないと思っていたガンちゃんに会えたのはファンとしてはうれしいのだが、全く動かず言葉も発しない姿はなんとも切ないものがあった。