■ワルモノ見参!! 山王工業戦で見せた湘北メンバーの前代未聞の行動
最後は、インターハイ・山王工業戦、ウォームアップ時の湘北スタメン全員だ。清々しいほどの彼らのヒールぶりが印象的だったシーンを紹介したい。
山王はインターハイを3連覇中で、高校バスケ界で最強の存在だった。試合前のウォームアップでも、観客の多くが王者・山王に注目を集めていた。湘北のサブメンバーも、王者を目の前にして、プレッシャーに負けないようにと必要以上に意気込んでいる様子がうかがえる。
このように試合前から山王工業ペースのなか、桜木は山王工業の練習に何食わぬ顔で割り込む。そして、山王側にワンハンドでダンクをたたき込み、「アイサツがわりだ」と宣戦布告した。
前代未聞のとんでもないマナー違反ではあるが、それを咎めることなく三井寿、宮城リョータのヤンチャ先輩も加わり、さらに3人で威嚇ポーズを決めてみせる。
しかし、相手も並みのチームではない王者・山王。河田雅史がエースの沢北栄治に、「アイサツしてこい」と、お返しのダンクを決めてくるよう促す。それに応え、見事なダンクを沢北が決めようとした瞬間、今度は赤木と流川がボールを投げてダンクを妨害。
こっちから挑発しておいて、相手がやり返してきたら許さない。憎らしくもここまでやれば痛快である。まさに「ワルモノ見参」という湘北らしい場面であった。
以上、神奈川県予選の翔陽戦、陵南戦、インターハイ山王工業戦から、まさに「ワルモノ見参」というような湘北メンバーの憎たらしい勇姿を3つ紹介した。
今回は湘北に限定して紹介したが、憎たらしさでいうと海南の清田、陵南の福田、豊玉の南と岸本、名朋工業の森重……なども負けてはいないだろう。
どのキャラクターにも共通するのは、ただ憎たらしいだけでなく、個性豊かで魅力に溢れているところだ。時代が変わっても色褪せないキャラクターたちの魅力こそ、今日まで『SLAM DUNK』が愛し続けられている理由なのかもしれない。