『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』が新作アニメとして帰ってきた。本作は和月伸宏氏による幕末から明治を舞台とする漫画で、かつて「人斬り抜刀斎」と恐れられた主人公・緋村剣心をはじめ、さまざまな剣客や武術家が見せる激しいバトルが魅力だ。1996年にはTVアニメも放送され、当時爆発的人気を誇った。そして2023年7月から原作リメイクとなる待望の新作アニメがはじまり、ファンが盛り上がりを見せている。
そこで今回は、『るろうに剣心』全編新作アニメでじっくり詳しく見てみたいと思う奥義&戦闘シーンを3つ紹介する。
■破壊の極意「二重の極み(ふたえのきわみ)」
まずはじめに紹介したいのが、相楽左之助の「二重の極み」だ。旧アニメでは、小学生が一番マネした技と言ってもいいのではないだろうか。剣を使うほかの技とは違い、比較的お手軽に挑戦することができ、頑張ればちょっとできそうな感じもしたのだ。
このようにちょっと親しみのある二重の極みだが、実は左之助が「京都編」で習得するかなりの大技だ。それ以前の左之助は、持ち前の怪力と打たれ強さを生かしたケンカ殺法が戦いの基本スタイルだった。しかし、度重なる強敵を前にその戦い方にも限界が来ていた。そんな中、偶然にも悠久山安慈という僧と出会い、拳の角度を変えて連続して打撃を与え、爆発的な衝撃を与える技・二重の極みを習得する。
習得後、左之助は「人誅編」の戌亥番神(いぬい・ばんじん)、「北海道編」の於野冨鷹(おの・とみたか)などとの戦いで二重の極みを見せている。その中でもやはり一番の激闘は、二重の極みの師匠である安慈との戦いではないだろうか。実は安慈は、国家転覆をもくろむ志々雄真実の十本刀の一人。過去の後悔や恨みに囚われ戦う安慈にかつての自分が重なり、熱くそして諭すように戦う左之助だった。しかし、力の差は歴然で終始圧倒され続ける。最終的にはギリギリのところで、二重の極みに五指を一気に弾いた衝撃を加える離れ業「三重の極み」で辛くも勝利した。
このようにロマンあふれる二重の極み。旧アニメでは習得できなかった筆者だが、新作アニメでチェックしてぜひとも習得してみたい……。
■終の秘剣「火産霊神(カグヅチ)」
次は、志々雄真実の「火産霊神」を紹介する。志々雄は「京都編」のラスボスで、全編通して最も剣心を苦しませた敵と言ってもいいだろう。全身に大火傷を負い、包帯グルグル巻きの姿は痛々しくも恐ろしい。「十本刀」と呼ばれる猛者たちをまとめ上げるなど、まさに悪のカリスマだ。自らの復讐と野心のために“国盗り”に動き、これを阻止する剣心たちと対決することになる。
火産霊神は、剣心とのバトル最終局面で放とうとした志々雄の最終奥義である。ノコギリのようにギザギザした「無限刃」の発火能力を最大限に開放した必殺技で、放たれた炎は刀身を中心に巨大な渦を巻く。しかしこの見事な大技も、剣心の奥義「天翔龍閃」に競り負け、実は本編では不発に終わっている。仮に、この技が決まっていたら『るろうに剣心』という物語は大きく変わっていたに違いない。
「火産霊神」は剣心にこそ届かなかったものの、志々雄真実の強大な力と野望を象徴する技。一連の攻撃や炎のグラフィックは見ごたえ十分になると期待できる。新作アニメでどう表現されるか楽しみだ。