■90年代『りぼん』の人気作

 続いては、『りぼん』(集英社)で1997年から連載されていた吉住渉氏による『ミントな僕ら』。両親の交換結婚が原因で男の子と同居することになるという衝撃的な設定が話題をよんだ『ママレード・ボーイ』の作者で知られる吉住氏の作品で、同作の設定もかなり変わっている。

『ミントな僕ら』は双子の姉弟の南野のえると南野まりあが主人公。姉のまりあが初恋の相手を追って全寮制の中学に転校してしまったことから、シスコンの弟ののえるが心配して自分もその学校に転校する。しかし女子寮にしか空きがなかったため、のえるは女装して、女子として学校生活を送るのだ。

『りぼん』連載作品では男性が主人公の作品はかなり珍しい。同作はのえるの視点で話が進み、彼の恋模様についてもきちんと描写されている。中には声変わりをするというエピソードもあった。それゆえ、いかにも少女漫画という内容には感じられないが、性格の違う双子2人のそれぞれの恋愛模様は斬新で読者をドキドキさせた。

 最後は、1999年に『りぼん』で連載された小花美穂氏による『パートナー』。一卵性双生児の桜沢苗と桜沢萌、二卵性双生児の添田賢と添田武という2組の双子がメインキャラだ。

 ある日、苗と萌はケンカしたまま、萌が交通事故死してしまう。そしてその遺体は何者かによって盗まれてしまった。意気消沈する苗、賢、武はクラスメイトの計らいで長期旅行に来るのだが、そこで萌そっくりな人に出会う。

 彼女を追ったところ、3人は萌が死体を使った実験に利用され「L・S・P(生きている人間剥製)」にされたことを知る。そしてそのまま製薬会社の工場に監禁されてしまう。

 当時、『りぼん』の漫画の中では類を見ないダークでシリアスな世界観で、作中で起こる怖い出来事や悲しい出来事にトラウマを抱いた人も多いであろう作品だ。

 ショッキングなシーンも多いが、複雑に練られたサスペンスストーリーは大人になった今こそ楽しめるだろう。また双子だからこそ、片割れへの愛を感じるシーンもあり、悲しくも心を掴んで離さない名作だ。

 どの作品にも共通するのは、双子キャラたちはどんなピンチでもお互いを思いやっているということと、たとえ見た目がそっくりでも、それぞれがきちんと自分の考えや個性を持って生きているという点だ。私たちはそんな2人の強さや、他の人には入り込めない絆に強い憧れを抱いてしまうのだろう。

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