■伝承される“存在”がキーマンに…“青き衣の人物”と“シシ神”

 ナウシカの住む“風の谷”にはある言い伝えがあり、父・ジルはそれに登場する伝説の人物を探していた。汚染された世界から人々を清浄の地へと導いてくれる救世主のことを表した言い伝えで、この救世主・“青き衣をまとう者”については映画版のクライマックスで感動的な名シーンが描かれている。

 そして『もののけ姫』にも、伝説的存在である「シシ神」が登場している。アシタカはタタリ神から受けた呪いを解く方法を探るうちに、シシ神という生と死を自在に操ることができる神のことを伝え聞く。

 シシ神は大きな鹿のような体をしているが、人間のような顔がついているなど、まさに“伝説”にふさわしいキャラクターだ。本作のキーマンでもあるシシ神は、クライマックスで巨大な「デイダラボッチ」の姿へ変身してものすごい勢いで命を奪っていく。このシーンの恐ろしさは、子どものころに本作を見た筆者にとってかなり大きな衝撃だった。

 伝承される“存在”が物語のキーマンになっているという点でも共通点がある『風の谷のナウシカ』と『もののけ姫』。こう比較してみると、視聴者が「似ている」と感じることもうなずける。

 

 このように何かと共通点が多い『風の谷のナウシカ』と『もののけ姫』。ほかにも、敵役として登場するクシャナとエボシも、どことなく雰囲気やカリスマ性、思想などが「似ている」ように感じられる。

 “自然を壊そうとする者と、それを守ろうとする者の戦い”という大きな軸が同じであるこの2作品。見返してみると、新たな共通点を見つけることができて面白いかもしれない。

 いよいよ放送となるスタジオジブリ作品の名作たちを、この機会にぜひ違う視点からも楽しんでみてはいかがだろうか。

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