ジブリの原点…? “環境破壊”や“人間と自然との共存”を描いた『風の谷のナウシカ』と『もののけ姫』3つの共通点とはの画像
© 1984 Studio Ghibli・H
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 7月7日の本日より『金曜ロードショー』にて、スタジオジブリ作品の『風の谷のナウシカ』(1984年公開)、『コクリコ坂から』(2011年公開)、『もののけ姫』(1997年公開)が3週連続で放送される。これらの作品は地上波で何度も再放送されているが、見るたびに新しい発見があり、感動を呼び起こされるという人も少なくないだろう。

 今回は、屈指の名作『風の谷のナウシカ』と『もののけ姫』に焦点を当てていきたい。実はこの2作品は、たびたび「似ている」といわれることがある。どちらも“環境破壊”や“自然との共存”など大きなテーマが同じであることから、そう感じる人も多いのだろう。そこで、この2作品で描かれた“3つの共通点”を考察してみようと思う。

■迫力のあるスケールで描かれた…「巨大生物の大群」

『風の谷のナウシカ』といえば、迫力のある巨大生物たちの大群が印象的だ。巨大生物・王蟲の群れが登場するシーンは圧巻で、名シーンのひとつでもある。人間の何倍もあるような、巨大な王蟲たち。普段温厚な彼らが怒りに狂い迫りくる様子には、なにか底知れぬ“恐怖”を感じてしまう。

 そして『もののけ姫』にも、巨大生物の大群が描かれている。それが、乙事主(おっことぬし)とともに現れた猪の大群だ。本作では“神”と呼ばれる存在が森を守っており、大きな動物の姿で描かれているが、乙事主もそのひとりで「猪神」として多くの猪たちを率いていた。

 冒頭のシーンで、“タタリ神”になってアシタカの住む里を襲ったのも猪神だ。仲間の死を聞きつけた乙事主は遠い国から駆けつけ、そこでエボシとの戦いに身を投じていくことになる。体の大きな猪たちが大群で人間を襲う描写は、『風の谷のナウシカ』に登場する王蟲の群れを連想させる。

 小さな子どもの王蟲をいたずらに囮にされ怒り狂う王蟲たちの姿と、森を破壊する人間に怒りを向ける猪たちの群れ。どちらも人間に対する怒りや憎しみに支配されており、過ちを知らしめるため、深い傷を負おうとも、仲間がやられようとも、その身を顧みずに押し寄せてくる。

 その姿は愚かな考えに支配された人間への警告のようにも見え、なんだか胸が締めつけられるような気持ちになってしまうのは、筆者だけではないだろう。

■人を惹きつける魅力を持つ「強い女性像」…ナウシカとサン

 ナウシカといえば、類い稀なるリーダーシップを持つ女性だ。“風の谷”をおさめる族長・ジルの娘である彼女を「姫さま」と呼び慕う民は多く、そのカリスマ性はスタジオジブリ作品のなかでも抜きん出ているのではないだろうか。

 一方で『もののけ姫』では、山犬に育てられた少女・サンが登場する。彼女は「もののけ姫」と呼ばれ、動物と心を通わせ、ともに暮らしている。エボシとの戦いのなかでは、育ての親である犬神・モロの君とシシ神の森を守るために戦い、自我を失いかけていた乙事主の側へつくなど、活躍を見せていた。

 サンはナウシカのようなリーダーシップは持ち合わせてはいないが、巨大な猪たちの大群にも臆することはなく、気性の荒い山犬たちもサンの前ではまるで飼い犬のように従順にさせる。彼女のこのような芯の強さや、気高さ、生き物へ対する敬愛などはナウシカに通ずるものがある。

 そしてナウシカといえば、環境破壊を食い止めようと奮闘したキャラクターだが、サンもまたシシ神の森を壊そうとするエボシに立ち向かうなど、“自然を守ろうとした”という点でも共通点が多いと思う。

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