モビルスーツ同士のド派手な戦闘や、それを操縦する才能あふれるパイロットたちが『ガンダム』シリーズの魅力だ。一方、戦争にかかわる人間ドラマや倫理的な問題にも焦点を当てており、とくに宇宙世紀における地球連邦軍は巨大な組織ゆえに、なかには、私欲的な行動をとったり危険な思想を持ったりする者もいる。
そこで今回は、権力の腐敗を体現するような、地球連邦軍高官たちのトンデモ言動3選を紹介しよう。
■ジャブローのモグラ「ゴップ」
はじめに紹介するのが、『機動戦士ガンダム』に登場する「ゴップ」だ。一年戦争時、地球連邦軍の参謀本部の高官で、階級は大将。旧世紀から続く名家出身の彼は見た目のふてぶてしさも相まって、地球連邦軍の権力を象徴するかのような存在だ。
レビル将軍と比較されることが多く、最前線で指揮を執るレビルに対して、地球連邦軍総司令部・ジャブローに籠もって指示を出すゴップの姿は「ジャブローのモグラ」と揶揄されることもある。
第29話「ジャブローに散る!」では、自分たち参謀本部が隠れるジャブローの出入り口を敵に露呈してしまったホワイトベースに対して「ああ。永遠に厄介者かな ホワイトベースは」とつぶやく。
それまで物語を通してホワイトベースの激戦を目撃してきた視聴者にとっては、このゴップの発言はいささか冷たすぎるように感じてしまう。その後、主力艦隊の囮としてホワイトベースを使い捨てるような作戦などを執ることで、ブライトのような若い軍人たちを中心に、地球連邦本部への不信感にも繋がっていった。
■裏切り者の「エルラン」
次に紹介するのが、『機動戦士ガンダム』に登場した「エルラン」だ。
彼は地球連邦軍の中将という立場でありながら、敵将マ・クベに内通し、スパイとしても活動しており、最重要機密オデッサ作戦の情報などをジオン軍に漏らしていた人物だ。漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、戦闘で自らに危機が迫った際「退艦させて下さい」と涙ながらに懇願するなど、軍人にあるまじき情けない態度も見せている。
第25話の「オデッサの激戦」では、オデッサ作戦開始と同時に地球連邦軍を裏切る予定だったものの、アムロたちに内通がバレてしまい、暗殺しようとする。しかし、以前からエルランに疑惑の目を向けていたレビルとその部下により現場を押さえられ、拘束されることとなった。
また、一年戦争前を描いた『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』で、エルランはジオン軍に捕らわれていたレビルを救い出しているのだが、その手柄を自らの政争のカードに利用しており、軍人として浅ましい言動が目立つ。この頃から、やはり連邦軍における権力の腐敗を感じさせる人物となっている。