■見えない刃で確実に切断する魔剣

 皆川亮二氏による『ARMS』(小学館)には、ARMSのようにナノマシンを使用した生物兵器が数多く登場する。

 そんな生物兵器のひとりキース・グリーンが使用する「魔剣アンサラー」は、かなり反則的な技といえるだろう。「空間の断裂」とも呼ばれるこの技は、見えない刃が周囲360度、射程距離約30メートルで放たれるからだ。この刃は空間をズラして斬るため、射程内の全ての物の硬度を無視して確実に切断する。しかも見ないうえに音もしない。

 唯一対抗策としては、ジャバウォックの持つ“ARMS殺し”の爪によって見えない刃ごと破壊することもできたが、ジャバウォック以外に対処法がないようにも思える。それにジャバウォックであっても、全てを防ぐことは難しいだろう。この技を出された時点で、とにかく一気に射程圏内から離れなくてはならない。

 30メートルを一瞬で離れるのも至難の業のうえ、攻撃を防げない時点で手詰まり。そこから見ても、実はキース・グリーンこそが最強キャラではないだろうか。

 以上3キャラを振り返ったが、意外にも表立った活躍はない。主人公の能力や魅力につい目を引かれてしまうが、最強候補の能力者が控えめにいるところも面白い。

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