■『YAWARA!』の「猪熊滋悟郎」
次に紹介するのは『YAWARA!』に登場した「猪熊滋悟郎」だ。主人公である柔のおじいちゃんで、全日本柔道選手権大会を5連覇するほどの柔道の達人だ。
過去のトラウマから、柔道をやりたくない柔に対して、さまざまな手を使い柔道の道に引きずり込もうとする。柔道以外は基本放任主義のはずなのだが、風祭に思いを寄せる柔には「恋にうつつをぬかすとは何事ぢゃ!!」と、なんだかんだで恋愛事情にも口を挟んでいる。
実はそれには理由があった。柔は、滋悟郎の亡き妻のカネコ(柔のおばあちゃん)と瓜二つだという。態度には出さないものの、カネコ一筋だった滋悟郎にとっては、亡き妻の面影と重なる孫の柔は、まさに目に入れても痛くない存在なのだろう。
その後、松田との関係にはあまり口を出していないところを見ると、ある程度自分が認める男であれば、孫の意志を尊重するようだ。
■『クレヨンしんちゃん』の「野原銀の介」
最後に紹介するのは『クレヨンしんちゃん』に登場するしんのすけのおじいちゃん「野原銀の介」だ。秋田で農家をやっているのだが、埼玉県春日部にあるしんのすけの家には、なにかと理由をつけてはしょっちゅう遊びに来る。よって、アニメでも意外に登場回数は多い。
銀の介の性格は、いたずら好きでスケベ。しんのすけが通うふたば幼稚園を訪れた際は、先生たちにいたずらしたり、美人ママをナンパしたりして周囲を困らせている。しんのすけや息子・ひろしの性格は、銀の介からの遺伝だろう。
そして、しんのすけが自分のことを「オラ」と呼ぶのは、おじいちゃんの影響でもある。さらには、しんのすけの代名詞でもある「ぞうさん踊り」は、お風呂場で銀の介から孫のしんのすけへ伝授されたものなのだ。
残念ながら、この「ぞうさん踊り」は時代の影響もありテレビ放送では見られなくなってしまったのだが、しんのすけとおじいちゃんの関係を象徴するような、微笑ましく楽しいものだった。
今回は、漫画やアニメに登場したおじいちゃんたちを、孫たちとどのような関係だったのかほっこりエピソードとともに5人紹介した。
中には孫がかわいいあまり、スパルタが過ぎたり、お節介だったりしてしまうおじいちゃんもいた。しかし、いずれのおじいちゃんも孫を愛し、その深い愛で主人公である孫たちに大きな影響を与えていた。やはり、おじいちゃんというのは偉大な存在である。