■「決闘を侮辱するなJOJO」ワムウの注意を引き付け大逆転
“柱の男”でもある戦闘の天才・ワムウとの対決は、まさに名勝負だった。波紋の修行をしたとはいえワムウとの戦闘力の差は大きく、普通に戦えば勝ち目はない。だからこそ、ジョセフの知力が光った戦いだったように思う。
「エイジャの赤石」を賭けた戦車戦では、1周ごとに新たな武器が用意されている。1周目、先にハンマーを手に入れたジョセフは攻撃すると見せかけ、ワムウの裏をかいて手綱に波紋を流して両腕をズタズタにする。2周目の武器は大小のボーガン。ここでジョセフは大きいボーガンを選択するが、あまりに重く鉄球を乗せても弦を弾くことができない。
一方のワムウは、ジョセフにやられたことにショックを受けていたが、自らを落ち着かせるために両目を潰し、額にあるツノで風を感じジョセフを検知することに集中する。
その後、冷静さを取り戻したワムウが放ったボーガンの鉄球が命中。ジョセフは戦車から落ちてしまうが、その影響で偶然セットできた大きいボーガンをあさっての方向へ放ってしまう。万事休すとなったジョセフは小石をワムウへ投げつけ、「おねがいだー たっ、たすけてくれーーっ!!」と、命乞いをはじめた。
その情けない様子に「きさま…」と怒りをあらわにするワムウだったが、ここでジョセフが「決闘を侮辱するなJOJO」と、彼の次のセリフを先読み。そして、その通りに言葉を発したワムウが「はっ」と驚いた途端、背後から飛んできた鉄球が彼に直撃した。
なんとジョセフは跳弾を利用し、わざと逆方向へボーガンを放っていた。そして、命乞いで時間を稼ぎながら、冷静なワムウをわざと怒らせて注意を自分に向けていたのだ。まさに、駆け引きの天才といえよう。いや、ずる賢いともいえるのか……。
ジョジョの主人公はみんな強くてたくましいのだが、ジョセフだけはちょっと例外で自分よりも強い相手と戦うことが多かったように思う。
「努力」と「ガンバル」が“嫌いな言葉”という、ジャンプでは珍しい主役キャラだったが、ジョセフは第3部でも先読み力を発揮していく。心理戦で優位に立って相手を出し抜くというのは痛快で面白かったものだ。