■可愛い顔してやるときはやる!『ジョジョの奇妙な冒険』の「セックス・ピストルズ」
作品によっては使用する“銃”自体は通常のものだが、自身の“能力”と組み合わせることで、思いがけない効果を発揮する場面も少なくはない。
1986年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載が開始された、荒木飛呂彦さんの『ジョジョの奇妙な冒険』にも、銃と身につけたスタンド能力を組み合わせて戦うキャラクターが登場する。
イタリアが舞台となる第5部にて、主人公・ジョルノらの仲間としてともに戦うグイード・ミスタは、リボルバー式のピストルを武器として使用するのだが、この弾丸を自身のスタンド・「セックス・ピストルズ」によって自在に操作することが可能なのだ。
スタンド像自体はてのひらに収まるほどの妖精のような姿をしており、ナンバーが振られた6体の群体型スタンドとなっている。
オーソドックスな使い方は、発射した弾丸を空中で殴る、あるいは蹴ることでその軌道を操作してしまう……というもの。一発の弾丸を複数人で何度も操作することもできれば、それぞれがリボルバーに装填された各弾丸を担当し、連射に対応することも可能だ。
さらに応用技として、一発の弾丸に強い衝撃を与えることで複数個の“破片”に空中分解させてしまい、散弾のように叩き込む、相手の虚を突いた確度から攻撃するなど、シンプルな能力でありながらその応用法は非常に多い。
またこのスタンド、能力ではありながらナンバーごとの性格が設定されていることも特徴で、腹が減るとサラミを欲しがったり、気弱なナンバー5をほかのメンバーがいじめていたりと、どこかスタンドというよりもマスコットのような愛くるしさや個性も持ち合わせているのだ。
数々の強力な“スタンド能力”を使いこなす敵を前に、ミスタは一丁のリボルバーとこの「セックス・ピストルズ」を活用し、常に互角以上の立ち回りを見せていた。可愛い姿でありながらやるときはやる……を体現するような、まさに“奇妙”な能力である。
遠距離武器として手軽に凄まじい威力を発揮する銃だが、漫画作品に登場するものは必ずしも弾丸を放つものばかりとは限らない。大砲並みの威力や、重力を叩き込むもの。能力で方向を変えてしまうものなど、破壊力はもちろん、そのトリッキーな使い方からも目が離せない。