現在の日本は長く円安不況が続き、生活にも閉塞感を感じている人も多いのではないだろうか。そういった人におすすめなのが、小林よしのり氏による『おぼっちゃまくん』の現実離れしたお金持ちエピソードだ。
本作は1986年『月刊コロコロコミック』(小学館)で連載開始され、好評につき1989年からはアニメ放送もスタートした。80年代後期といえば、まさにバブル時代。バブルを象徴するかのような『おぼっちゃまくん』は、お金持ちネタや下ネタも多く、当時の小学生を中心に大人気だった。
今回はアニメ『おぼっちゃまくん』から、イーロン・マスク氏やビル・ゲイツ氏を軽く超えるビックリするようなお金持ちエピソードを紹介する。
■“歩く身代金”を体現した「誘拐されてすみませんえん」
まずは、アニメ第3話「誘拐されてすみませんえん」から。おぼっちゃまくんが誘拐されてしまう回だ。
好物の和菓子「いたらき」の誘惑に勝てず、誘拐されてしまったおぼっちゃまくん。誘拐犯グループは、さっそく身代金3億円を要求する。それを聞いたおぼっちゃまくんは、洋服に縫い付けられた宝石の数々、さらにおへそからエメラルド、鼻から黒真珠、おしりから金塊、耳から砂金、歯からダイヤなど、体中に身につけた貴金属を出し、あっさり身代金3億円を払ってしまう。
仰天する犯人グループだったが、それもそのはず、自称“歩く身代金”のおぼっちゃまくんは、小さい頃から誘拐に備えて体中に貴金属を身につけているのだ。
その後、おぼっちゃまくんの提案で、アジトをタイコクホテルのスペシャルエグゼクティブルームに変更。おぼっちゃまくんは世界中の料理とショーを振る舞い、犯人たちは飲んで踊って騒ぎまくる。
最終的には、「この世の極楽を味わわせていただきました」「思い残すことはありません」「ありがとうございました」とそれぞれ感謝の言葉を残し、踏み込んだ警察官たちに喜んで捕まっていく。お金の力で誘拐犯たちを改心させてしまう『おぼっちゃまくん』らしいエピソードだ。
■ただの学級委員選挙なのに…「へけけで選挙!」
次に紹介するのは、アニメ第8話「へけけで選挙!」からだ。学級委員の座をめぐり、クラスメイトである柿野修平や袋小路金満らと選挙戦を争う回だ。
当初は柿野の応援だったおぼっちゃまくん。しかし、お父ちゃまに「カメの上でなく、人の上に立つ人間だ」と言われ、自分も学級委員選挙に出馬することに。言ってみればたかだか小学校のクラスの選挙なのだが、そこはさすが日本一お金持ちが集まる田園調布学園だ。
ライバルの袋小路は、飛行船から自分をアピールするビラをまく。それに負けじとおぼっちゃまくんは、プロレスの試合に割り込みテレビで選挙アピールだ。
最終的には、10万人のメイクさんを導入して、夜のうちにこっそり家に忍び込ませ、町中の人におぼっちゃまくんメイクを施したおぼっちゃまくん。彼の特徴である“太い眉毛”と“頭のツノ”を潜在意識に刷り込ませ、投票時に「茶魔」の名前を条件反射で書かせるというむちゃくちゃな方法だ。見事成功し当選したものの……、なんともお金がかかる学級委員選挙だった。