『ONE PIECE』ファンであれば一度は、「どの悪魔の実を食べたいか」という話題で友人と盛り上がったことがあるのではないだろうか。魅力的な実が数多くあるなかで、これだけは絶対食べたくないといった、どこかハズレ感のある悪魔の実も多数存在する。そこで今回は、実際に作中で登場した、使い道のない“絶対に食べたくない悪魔の実”をいくつか紹介しよう。
■天敵は市販のサビ取り剤…?「サビサビの実」
まずは、海軍本部大佐・シュウが食べた「サビサビの実」を紹介しよう。
文字通り金属をサビさせるというのがおもな能力で、エニエス・ロビー編にてゾロの刀である“雪走”をサビさせたのが印象深い。刀が3本ないと落ち着かないゾロにとっては致命的な損害を被った「サビサビの実」の能力だが、実際に自分が食べた時のことを想像してみよう。
ルフィのように何気なく食べた果物が悪魔の実で、まずは海で一生泳げないという事実に誰もが絶望することだろう。望んで食べていなければこの絶望は誰もが味わうわけだが、その悪魔の実が「サビサビの実」だったと気づいた時には、さらなる絶望に直面することになる。
何気なく日常を過ごしていて「あー、これ早くサビないかなぁ。」と思ったことはあるだろうか……いや、ないはずだ。どちらかといえば、古くなった機械のネジを緩めたい時、サビていて回せずにイライラしたことがある、といった経験をしたことがある人が多いだろう。
そう、人は金属がサビることに、少なからず苛立ちを覚えるものだと思う。金属の「劣化」に当たるサビの能力を、望んで使いたいという人はまずいない。
たとえば突然現れた不審者のナイフをサビさせたり……といった使い道が思いつくものの、そんな機会はなかなかない。カナヅチになる代償として得られる能力としては、なんとも使い道の少ない能力である。
作中においても今後の活躍にイマイチ期待が持てない、残念な悪魔の実の一つであると言えよう。
■着てもらわないと意味なし…「ジャケジャケの実」
続いては、“モガロの殺し屋”の異名を持つケリー・ファンクが食べた「ジャケジャケの実」を紹介しよう。
コリーダコロシアムに登場したファンク兄弟は、強靭な肉体を持つ弟のボビーに、ジャケットとなったケリー自身を着てもらうことで、弟の人格と肉体を乗っ取り強くなる、という能力を披露した。悪魔の実としてはほかに例のない、自分以外の誰かに協力してもらうことで初めてその能力を発揮できるというものなのだ。
人格を乗っ取るという能力自体は、かなり強力なものであると言える。敵のボスの人格を乗っ取れば組織を壊滅させるといったことも期待できるし、好きな人の恋人の人格を乗っ取り、その二人を別れさせることもできるかもしれない。
ただしそんな話もすべて、自分を「着てもらう」ことができればの話である。敵のボスや好きな人の恋人に、どのように自分を着させることができるだろうか。干してある洗濯物に紛れて吊るされているか、はたまた洋服屋に商品として並んでいれば買ってくれるだろうか。どれだけ思考を巡らせても、自身と深く関りのない人間に自分の姿そのままであるジャケットを着てもらうための有効な手段が見当たらないのだ……。
悪魔の実の能力が発動され、はらりと床に落ちた時の気分を想像するだけでもゾッとする。ファンク兄弟のように一心同体となれる相棒がいなければ、能力を使うことなく一生を終えることになるかもしれない……。