■ジャンプ漫画史に残る見開き

 最後は尾田栄一郎氏の『ONE PIECE』。「名見開き」を考えるだけでも次々とシーンが浮かんでくる同作だが、知名度が高く読者を感動の渦に飲み込んだ見開きといえば、23巻で描かれたアラバスタ編のラストだろう。

 クロコダイルを倒したルフィ一行だが、それはこれまで行動を共にしてきた国王のビビと別れの時が迫っていることを意味していた。

「いつかまた会えたら!!! もう一度仲間と呼んでくれますか!!!?」と叫ぶビビに返事をしようとしたところを海軍に見られ、ビビと海賊との繋がりがバレないように、麦わらの一味は「仲間の印」を記した左手を高く掲げるのだった。

 この見開きは上半分に左腕を掲げた一味が描かれ、下には嬉しそうに涙を流すビビの表情と、同じく左腕を掲げるビビとカルーが描かれている。

 左からゾロ、チョッパー、ウソップ、ルフィ、ナミ、サンジ。今の一味を考えるとまだまだメンバーが少ない。その後の冒険を知る読者にとっては、見返すたびにジッと眺めたくなるような名見開きだろう。

 このポーズは記念写真などでマネをするという人も多く、またフィギュアやアパレル商品、ジグソーパズルやステッカーなど特にグッズ展開が多いことでも知られている。23巻の発売日から20年以上が経過しているが、いまだに色あせない名シーンだ。

 印象的な見開きページは、それ自体が作品を象徴するという効果がある。名作は名見開きにこそあり、といっても過言ではないだろう。

  1. 1
  2. 2