■人間版チェスにあの国民的ゲーム制作陣が登場?『征服王』

 最後に紹介するのは、1992年10月より半年間放送された『征服王』だ。同番組はバルバリア大陸の覇権をめぐり、プレイヤーがスパルキアとガイアスの二国家に別れて戦う「対戦型シュミレーションゲーム」を1時間かけてプレイするというもの。両陣営には同額の軍資金が与えられ、軽装歩兵などのユニットを購入し配置させ、ゲーム開始と同時に互いの布陣が分かるという仕様だ。

 ユニットにはそれぞれ戦闘力や移動力が割り振られており、高額なユニットほど性能は高いが、合計戦闘力や地形効果などにより格上を倒すことも可能。さらに、途中から導入した「伏兵」により、最後まで勝敗がわからないなど作り込まれたゲーム内容であった。

 とはいえ、本番組で一番の魅力と言えば、実際に作られたバトルフィールドで甲冑姿の人間を駒のように動かす、いわば「人間将棋」を模した大掛かりなスタジオセットに他ならない。

 また森雪之丞さんに高橋幸宏さんに大槻ケンヂさんに池田貴族さん、「ジャンプ放送局」の“えのん”こと榎本一夫さん&“どいん”こと土居孝幸のコンビなど、深夜枠ならではの珍しい著名人の出演者が楽しく戦略もそれぞれの個性が出ていて楽しめた。筆者は、すぎやまこういちさんとチュンソフト設立者・中村光一さんの「ドラクエコンビ」が登場した回を運悪く録画し忘れてしまい、友人の友人、……つまり遠い知り合いから録画ビデオを借りた覚えがある。

 この時期は深夜ドラマも秀逸なものが多く、三姉妹のドタバタな日常をアドリブで演じた『やっぱり猫が好き』や、豊川悦司さん・武田真治さんの出世作『NIGHT HEAD』なども視聴者を夢中にさせた。尖った番組揃いだった深夜枠を、今の人たちが観たらどう思うのか聞いてみたい気がする。

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