■マルチバースを終わらせたのもフラッシュだった
このマルチバースというのは、製作サイドにとってはあまりに便利な方便だったために粗製乱造が続き、1980年代になればDCユニバースは何がなんだかわからないカオス状態に陥ってしまいました。
これを終わらせ、新たに統一された一つの世界を創るために描かれたのが、マーヴ・ウルフマン(原作)とジョージ・ペレス(作画)による、『クライシス・オン・インフィニット・アース』(無限地球の危機)という12話完結のミニシリーズです。
これは、マルチバースを一つずつ滅ぼそうとする「アンチモニター」という超強力な宇宙生命体を倒すために、あらゆるスーパーヒーローたちが力を合わせて戦う物語で、コミックスは大変ヒットしました。また、今まで混乱を極めた世界観をうまく整理したために、DCは新規のファンの獲得にも成功したのです。
ただし、このアンチモニターとの戦いの途中で、2人の大物ヒーローが命を落とします。
その2人とは、スーパーマンの従妹・スーパーガールと、2代目のフラッシュ。奇しくも、今回の映画『ザ・フラッシュ』で重要な役割を果たす2人です。映画のほうではどういう活躍をするのかは分かりませんが、因縁の2人の登場に期待したいところです。
ちなみにバリー・アレンのフラッシュが死んだ後、助手のキッド・フラッシュことウォリー・ウエストが3代目を継ぎ、さらにその後は2代目の孫のバート・アレンが4代目を継いだりしていたのですが、2008年の『ファイナル・クライシス』で2代目が実は生きていたことが判明。その後はまた2代目がフラッシュの名前で活動を続けたりして、コミック界のフラッシュはいろいろ迷走し続けています。
■スピルバーグ監督作で、ディカプリオがバリー・アレンを演じていた!
実は、スティーブン・スピルバーグの2002年の監督作『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』に、フラッシュが登場しています。そしてバリー・アレンを演じたのは、あのレオナルド・ディカプリオでした。
「あの映画観たけど、そんなシーンあったっけ」という向きも多いことかと思いますが、ウソだと思ったら観返してみてください。
ディカプリオ演じる実在の詐欺師の偽名の一つがバリー・アレンというんです。で、トム・ハンクス扮するFBI調査官が、ダイナーのバイトのあんちゃんに「バリー・アレンって漫画の登場人物の名前ですよね」と指摘されて、犯人が実は漫画を読んでいるような子どもだということに気づくシーンがありましたよね?
「スピルバーグ監督作で、ディカプリオがバリー・アレンを演じていた!」というのがまったくウソじゃないとおわかりいただけたことと思います。
以上を知ったうえで映画『ザ・フラッシュ』を観ると、さらに面白いはず。楽しんでください!