■『HUNTER×HUNTER』パーム

 冨樫義博氏による『HUNTER×HUNTER』(集英社)には、髪の毛を自在に操るかなり個性的なキャラクターがいる。それがキメラ=アント討伐隊のメンバーの1人、パームだ。パームはいわゆるヤンデレな部分のある女性キャラで、ウェーブのかかったロングの黒髪がその不気味さを際立たせている。前述した『ジョジョの奇妙な冒険』の山岸由花子も黒髪ロングのヤンデレキャラなので、どこか似たタイプの女性と言えるだろう。

 そんなパームはキメラ=アントに肉体改造されたことで、強化系能力「暗黒の鬼婦神(ブラックウィドウ)」を発揮できるようになる。これは全身を強化した髪の毛で覆うことで完全防御の状態となり、パーム自身が攻撃に専念できるという技。

 普段はボサボサの彼女の髪が全身を覆うというもので、そのときの感情によってどういった形に変形するかマチマチだというが、作中では“貴婦人”風のドレス&ハット姿に変身していた。技名もその能力も彼女の性格にピッタリのものだが、その一方でキルアの50キロもあるヨーヨーを破壊して追い詰めるほどの強さも……。現在進行中の「暗黒大陸編」では姿を見せていないが、再登場を待つ読者も多いのではないだろうか。

 自分の髪の毛を自由自在に操って戦うキャラクターは、思っていた以上に強い。手足のように自由に動かすことができるのであれば、それだけ攻撃や防御の手数が増えることになるわけで、相手としては予測もしづらくなりかなり厄介であることは想像に難くない。「髪の毛」というイメージから「柔よく剛を制す」的な使い方をつい想像してしまうが、実際には今回紹介したキャラクターたちのように、パワーも相当に兼ね備えていることが多い。現実ではあり得ないだけに、想像力をかき立てられる能力でもある。

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