■恐怖新聞を読むための100日の寿命の代償
1973年から1975年まで『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて連載された、つのだじろう氏による『恐怖新聞』でも、恐怖新聞を読むことには恐ろしい代償がある。
恐怖新聞には霊の存在や未来の出来事が書かれているが、1日読むごとに100日ずつ寿命が縮まってしまうのだ。
主人公の鬼形礼は、恐怖新聞によって幽霊や数々の超常現象などから助けられることもあるが、結果寿命が縮まってしまうのでは元も子もないのではないだろうか。
また、人を救うために自身の命を犠牲にする等価交換もある。魔夜峰央氏による『パタリロ!』は基本的にはギャグ漫画だが、とんでもないシリアス回も存在する。
パタリロが統括するマリネラ航空宇宙局の隣の植物園で働いているロビー少尉には、他人のケガや病気を治す能力があった。しかしその能力は実は自分の命のエネルギーを他人に分け与えているのだった。ロビー少尉は能力を使うほどに自分の生命が削られていき、最終的には、戦争の和平調停を行う司教を助けて死んでしまう。戦争を再び引き起こさないためとはいえ、つらすぎる選択だった。
どんなに素晴らしい能力でも、自分が同じ立場になったとき、寿命を犠牲にするにはかなりの覚悟が必要だろう。それゆえ寿命を犠牲にして能力を使う彼らには、とてつもなく大きな信念があるように感じられる。