漫画の中には、「大きな代償を払うことで強大な力や技を得ることができる」という設定が多く存在する。たとえば強い精神的ストレスを蓄積することで開眼する『NARUTO-ナルト-』の写輪眼や、食べることで海賊としては弱点であるカナヅチになってしまう『ONE PIECE』の悪魔の実などもそうだろう。
その力の代償はピンからキリまでさまざまであるが、強力な力を手に入れることはかなり魅力的とはいえ、その代償が自身の命(寿命)であるとなれば、即決することはなかなか難しいもの。今回はそんな葛藤を乗り越えて、寿命という最も大切なものと引き換えに大きな力を手にしたキャラたちを紹介したい。
まずは、原作・大場つぐみ氏、作画・小畑健氏による『DEATH NOTE』(集英社)の“死神の目”。
これは死神がデスノートを使うために持っている目と同等の効果を示すもので、顔を見た対象の本名と残りの寿命を知ることができるというもの。
名前を書いた相手を殺せるデスノートで相手を殺すためには、相手の顔を知っていることとその人物の本名が必要だが、これがあれば相手の顔さえ見ればすぐにノートに名前を書くことができる。しかも、見るべき顔は写真や映像でもOKだ。
ちなみに同時に見える寿命の長さについては、人間界とは異なる死神界の暦で示されているため、読者にとっては無意味な数字の羅列にしか見えず、読み解くのは難しい。
死神の目はデスノートの所有権を持っていれば誰でも契約することができ、視力が3.6以上になるのもお得感があるが、代償はなんと「自身の寿命の残り半分」というものだった。
作中では主人公の夜神月に思いを寄せる弥海砂が主に使用していたが、当の月はどんなにピンチでも最後まで目の取引をすることはなかった。彼のプライドの高さがこういったところからもうかがい知れる。
■クラピカに忍びよる寿命の足音
続いては冨樫義博氏による『HUNTER×HUNTER』のクラピカが使う「絶対時間(エンペラータイム)」。
これはクラピカの瞳が「緋の眼」状態になった際に発動する能力で、全系統の威力を100%引き出すことが出来るというもの。クラピカの能力も具現化系から特質系に変化する。
長時間使用すると数日寝込むほどの疲労し、能力発動中は痛みにさいなまれると言われていたが、364話にて絶対時間を発動している間は、1秒につき1時間、自分の寿命が縮むという制約があることが明らかになった。
例えば「奪う人指し指の鎖(スチールチェーン)」という、鎖を刺した相手のオーラを吸い取り、その能力を奪うという能力を使う際には、セットした能力を発動しない限り絶対時間は発動し続けてしまうため、発動条件が難しい能力をセットしてしまうと寿命はかなりの勢いで縮んでしまうことになる。
1日発動すると約10年分もの寿命が失われるこの制約。現在進行中の「暗黒大陸編」ではクラピカが船の中で長時間にわたってエンペラータイムを使用し、緋の眼状態で9時間も失神してしまうというシーンもあった。厳しい戦いが続く船の中で、クラピカが能力を温存してやり過ごすことはかなり難しいに違いない。現在『週刊少年ジャンプ』での同作の次回掲載号は知らされていないが、クラピカの行動が気になるばかりだ。