■ブリティッシュ・ロック好きにはたまらないラインナップ!

 プリンスといえば、第4部「ダイヤモンドは砕けない」の主人公・東方仗助の趣味が“「プリンス」のCDを聴くこと”だと、公式プロフィールで明らかになっている。

 それなら仗助のスタンド名「クレイジー・ダイヤモンド」も……と思うが、実はこちらはプログレッシヴ・ロックの先駆者「ピンク・フロイド」から。アルバム「炎~あなたがここにいてほしい~」(1975)収録の「Shine On You Crazy Diamond」が由来だ(『集英社ジャンプリミックス ダイヤモンドは砕けないvol.14 ラブ・デラックス編』より)。

 その第4部で最大の敵となった吉良吉影。スタンド名「キラークイーン」は、伝説のロックバンド「クイーン」の名曲「Killer Queen」から。この曲が収録されているアルバム「Sheer Heart Attack」(1974)が、キラークイーンの左手についている第二の爆弾「シアーハートアタック」の由来となる。さらに第三の爆弾「バイツァ・ダスト」は「Another One Bites the Dust」(1980)、邦題は「地獄へ道づれ」だ(『集英社ジャンプリミックス ダイヤモンドは砕けないvol.17ハーヴェスト編』より)。

 また、続く第5部で登場するブローノ・ブチャラティのスタンド名「スティッキィ・フィンガーズ」は、ロック界最高峰と言われる「ローリング・ストーンズ」のアルバム「Sticky Fingers」(1971)から。タイトルだけではなく、ジャケットの表面に本物のジッパーが取り付けられていたことも、ブチャラティのスタンド能力の発想につながっているという(『Comnavi』Vol.3より)。

 プリンス、フロイド、クイーン、ストーンズ……ブリティッシュ・ロック好きにとってはテンションが上がりっぱなしのラインナップだ。

■イギリスだけじゃない…ポルナレフの由来は?

 ここまでイギリス出身のバンドが目立ったが、第3部「スターダストクルセイダース」から登場したジャン=ピエール・ポルナレフの名前は、フランスのポップシンガー「ミシェル・ポルナレフ」から来ている。

 大ヒットとなった「シェリーに口づけ」(1971)は現在でもドラマやCMなどでよく耳にするが、このシェリーこそ、ポルナレフの妹の名前の由来だ(『集英社ジャンプリミックス ョジョの奇妙な冒険 PARTIII スターダスト・クルセイダースVOL.2 銀の戦車-シルバーチャリオッツ-編』より)。

 フランス人にはフランス人シンガーを……細部までこだわりが感じられる。

 

 ここに挙げたのはごく一部であり、このほかにも『ジョジョ』シリーズでは本当に多くの洋楽名やバンド名が引用されている。洋楽ファンは、それを探すだけでも楽しめるだろう。

 さらに第7部「スティール・ボール・ラン」では、ディ・ス・コのスタンド名にPerfumeの「チョコレイト・ディスコ」、また登場人物であるウェカピポとマジェント・マジェントにSOUL‘d OUTの「ウェカピポ(Wake Up People)」「Magenta Magenta」と、ついに邦楽まで登場した。漫画ファンのみならず、全音楽ファンも、この先ますます『ジョジョ』から目が離せない。

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