■怒涛の展開が続く本編にエネル再登場の余地はあるのか?

 本編にてルフィたち“麦わらの一味”は、ベガパンクの研究所がある島、“エッグヘッド”に上陸した。そこではベガパンクの開発したさまざまな装置に一同が感動する様子が描かれている。そこで重要視されているのが、機械を動かす「動力」である。

 前述したように、科学が発展した“エッグヘッド”においても、おもなエネルギーは「火」であるとされており、青海で「電気」が動力として扱われている描写は少ない。そのため、扉絵シリーズで描かれたビルカのおもな動力が「電気」である事実は、今後の物語に大きく関係がありそうにも思えてこないだろうか。

 自らの電気の能力で新たな軍団を結成したエネルが、『ONE PIECE』の世界のエネルギー問題に影響を与える重要キャラとして、近い将来再登場する可能性は十分に期待できる。

 もちろん、エネルが青海に電気をもたらすために働きかける、などといった善行をなすとは到底考えにくい展開である。ましてや海の覇権を巡って激しさを増す海賊たちの戦いに、わざわざエネルが参戦するというのも考えにくい。これに関しては作者の尾田栄一郎氏が、本作単行本のおまけページ「SBS」で“エネルが青海で天下を取ることはできない”と断言しているため、海賊同士の戦闘に参加させることはないと思われる。

 ならば考えうる登場のタイミングとしては、未だ動向が掴めない11人の超新星の一人、“怪僧”ウルージの登場のタイミングになるのではないだろうか。空島出身のウルージであれば、エネルの故郷であるビルカについて語られる可能性も高い。ビルカについて語られる機会があれば、なんらかの形でエネルの動きも本編に少なからずかかわってくるのではないだろうか。

 

 読者にさまざまな考察の余地を与えたエネルの扉絵シリーズが終了してから、およそ10年以上が経つ。その動向は未だ不明であるが、『ONE PIECE』の世界における「動力」という概念に触れられた“エッグヘッド”編において、エネルの電気の能力は非常に重要な要素にも思える。

 もちろんこのまま再登場はしないというパターンも十分に考えられるが、ファンとしてはそんな考えを頭の片隅に追いやり、いつどのような形で神・エネルが再臨するのか密かな期待を抱き続けていたいものである。

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