『Dr.スランプ アラレちゃん』小山茉美、内海賢二…豪華声優陣の「あの役」とアラレから千兵衛の「最後の言葉」の画像
(c)鳥山明/集英社/フジテレビ/東映動画
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 大ヒット作『ドラゴンボール』で知られる鳥山明が、同作発表以前に手掛けたコメディ漫画の傑作『Dr.スランプ』。1981年から放送されたアニメ化第1作は、『Dr.スランプ アラレちゃん』にとして、当時の子供たちを魅了し、驚異の視聴率を誇った。その声優陣をいま、振り返った。

■則巻アラレ=小山茉美の「アラレ語」の破壊力

 本作の顔と言えば、メガネで紫の髪、怒涛の怪力を持つ少女・則巻アラレだ。演じた小山茉美は当時、少女役を中心にその愛らしい声で活躍していた。その高音を活かし、本作では則巻千兵衛が生み出した少女型のアンドロイド・アラレ役に抜擢。破天荒かつ天真爛漫なキャラククターは「アラレちゃん」として親しまれた。

 とくに初期はアンドロイドであることを隠しながら、個性豊かなペンギン村のキャラクターたちと生活する姿が描かれていった。ど天然かつスーパーポジティブ、そしてはちゃめちゃに強いアラレ。彼女の「んちゃ!」「バイちゃ!」という「アラレ語」は一躍流行語と化し、「アラレちゃん」関連の商品を飛ぶように売れたとか。

 アラレ役の小山は、近年『名探偵コナン』のミステリアスな黒ずくめの組織の一員・ベルモット役や、『BLACK LAGOON』のロシアンマフィア「ホテル・モスクワ」の元軍人・バラライカなど、「組織の女幹部」キャラを好演。微塵も「アラレちゃん」を感じる芸幅の広さで、驚くほかない。

■則巻千兵衛=内海賢二、そして伝説的な声優陣も登場!

 アラレの生みの親と言えば、則巻千兵衛。原作のタイトルロールにして、自称天才博士だが、珍品も発明してしまう技術力、テキトーな閃き、スケベっぷりにおいて、本作のトラブルの種となるキャラクターだった。彼を演じたのは内海賢二。60年代から声優として活動し、すでに多数の映画吹き替えで、その渋みを発揮してきた内海は放送当時すでにベテラン。それまで演じてきたのが『007』シリーズのジェームズ・ボンド役の吹き替え、本作ののちに演じるのが『北斗の拳』ラオウであり、『ドラゴンボール』の神龍。内海の渋みの聞いた声音は、本作でハイテンション&ナンセンスなギャグにフルスイングで振り切っているのが清々しい。

 個人的には、主に千兵衛が好意を寄せる教師・山吹みどりへのスケベなアプローチが執念深く楽しかったものだが、現在ではなかなか通用しない「笑い」でもあろう…。また、みどり役の声優・向井真理子は、マリリン・モンローの出演映画の吹き替えを多数演じた声優。みどりの元ネタ(金髪&髪型やホクロだが…)であるモンローが、声の部分の色っぽさでも意識されている。

 そのほかのペンギン村のユニークな住人たちの声優陣を振り返ると超豪華である。アラレの同級生で、実家が喫茶店を営む不良の少女・木緑あかね役には杉山佳寿子(『アルプスの少女ハイジ』ハイジ役ほか)。理髪店の子でリーゼントにサングラスの空豆タロウは古川登志夫(『うる星やつら』諸星あたる役ほか)。陰険な「正義の味方」スッパマンは玄田哲章(アニメ『バットマン』シリーズのバットマン役ほか)。名古屋弁を喋る宇宙人・ニコチャン大王は大竹宏(『キテレツ大百科』ブタゴリラ役ほか)。…ほかにも、人気の敵役・Dr.マシリト役に野沢那智、狐のドンベ役に千葉繁と数えきれない。

 実はレジェンド声優のよそでは見られないギャグの応酬を楽しめる一作でもあるのだ。

■「またどこかで会おうね。バイちゃ」

 さらに本作のテーマソングも名曲揃い。あのオープニング映像とともに思い出される本作の代名詞『ワイワイワールド』。イントロがキュートで、「アラレ語」をふんだんに散りばめた『アレアレアラレちゃん』。

 ともに水森亜土による歌唱が素晴らしいのだが、最も推したいのは、やはり小山茉美と内海賢二による『アラレちゃん音頭』。日本中の夏祭りでかかったであろうこの曲。当然、筆者の幼少期の自宅近くの夏祭りでもエンドレスにループ。それでもあの曲が飽きないのは、小山と内海の声の類まれなアンサンブルによるものだったに違いない。

 その千兵衛役の内海が亡くなったのは、10年前の2013年だった。アニメ黎明期から、多くの作品に出演、外画吹き替えやナレーションでもトッププロだった内海。後進を育て、先達に愛された内海らしく、その葬儀には多くの声優たちが駆けつけたという。もちろん、アラレ役の小山もその一人。彼女は弔辞で、「博士! 聞こえる? 則巻アラレだよ。みんなね、博士と会えてめっちゃんこ、うれしかったよ。たくさんの愛をアンガトさんでした。またどこかで会おうね!バイちゃ!」と内海、いや千兵衛を明るく送り出したという。このアラレの言葉だけでも、思わず血の繋がらない兄妹を演じた二人の芝居をもう一度見たくなってしまうばかりだ。

 小山、内海たち名声優が残した傑作コメディ『Dr.スランプ アラレちゃん』。いま、その魅力に久々に浸ってみるのはいかがだろうか。

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