■最後まで演じ切ったその奮闘に拍手…『ドラゴンボールGT』トランクス
1996年よりテレビ放送された『ドラゴンボールGT』は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された鳥山明氏の国民的人気漫画『ドラゴンボール』の後日談を描く、オリジナルアニメだ。
ドラゴンボールを探すために宇宙を旅する最中、思わぬ事態から“女装”するはめになってしまったのは、主人公・孫悟空の仲間として同行していたトランクスである。
悟空一行は惑星ケルボにて、怪獣ズーナマの花嫁に選ばれてしまった娘・レーヌを救出すべく、トランクスを“女装”させて身代わりにし、ズーナマを撃破する計画を立てた。
当初は計画通りに事が運んでいたものの、カツラが取れてしまい、トランクスの素顔があらわになってしまう。作戦は失敗……に思えたが、なんとズーナマはトランクスを“ショートカットの女の子”と思い込み、なおも女性として接してきた。
この思いがけない事態に困惑しつつ、トランクスはなおも女性として振る舞い続け、ズーナマを騙しきることに成功。
この際、即興で「トレランス」という偽名を使っているのだが、見た目は“女ものの服を身に着けた素顔のままのトランクス”という、なんともシュールな絵が展開されることとなる。
作戦成功のために大健闘したトランクスであったが、やはり“女装”すること自体にはかなり抵抗があったらしく、自身の姿を見て「父さんと母さんがこの場にいなくてよかった」と言っていた。
生真面目なトランクスにとってはかなり恥ずかしい作戦となってしまったが、それでも最後まで“女性”としての自分を演じ切った彼に賞賛を贈りたくなるエピソードである。
意外にも、少年漫画の世界で“女装”を披露した男性キャラクターは多く、そこに至る理由や経緯もさまざまだ。奇襲をかけるため、侵入のため、身代わりのため……本人は大まじめにやっているものの、やはり筋骨隆々とした肉体と“女装”の相性は、いまいちなのかもしれない。