■ホンモノと間違われた不運なニセ哲也とニセダンチ
最後は原案・さいふうめい氏、作画・星野泰視氏による麻雀漫画『哲也-雀聖と呼ばれた男』(講談社)から、変わったニセモノのパターン。テツオとダチンの二人は、周囲の勘違いから本物のフリをせざるを得なくなってしまったキャラだ。
風貌や名前が哲也・ダンチのコンビに似ているところから、おだてられてニセることになってしまったが、実は彼らは麻雀を始めて3か月のド素人だった。そして、あろうことか哲也を倒すために来ていた玄人(バイニン)の鬼伊庭に目を付けられ、真剣勝負を挑まれてしまうことに。
その卓には本物の哲也もおり、ニセ哲也を交えての麻雀勝負が始まる。二人が鬼伊庭に勝てないのは一目瞭然ではあるものの、あの手この手を使ってどうにかアガろうとする。そのあまりにも健気な姿を見てしまうと、ニセモノでありながらどこか憎めなくなってしまうが、哲也も同じような気持ちだったのか、最後はこっそりと見せ場を作ってフォローしていた。鬼伊庭との勝負が終わった後、なぜかほっこりとしてしまったのは筆者だけではないはずだ。
以上3例を紹介したが、漫画に登場するニセモノキャラにはいろんなパターンがあり、いずれも主人公のかっこよさを引き立てるスパイスになっている。そして悪人でありながらもどこか憎めないキャラで意外な人気を集めていたりもする。そこにニセモノだけが放つ魅力があるのだろう。