現在放送中の『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)、『おとなりに銀河』(NHK)、『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)、『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日系)などなど、毎年各クールには多くの漫画・アニメを原作とした実写ドラマが各局で放送されている。ドラマだけでなく、映画でも一大コンテンツとしての地位を築いている人気漫画の実写化だが、その歴史はかなり古い。
日本で最も古い実写映画は麻生豊さんの漫画を原作に、1925年に製作された『ノンキナトウサン』である。そして長谷川町子さんによる4コマ漫画『サザエさん』は、1948年に実写映画『サザエさん 七転八起の巻』が公開されている。そして1955年10月にはテレビドラマとして『サザエさん』がKRテレビ(現在のTBSテレビ)で放送開始。アニメはその後、1969年から放送が始まっているが、日本のテレビの歴史とともに『サザエさん』があったと言っても過言ではないだろう。
さて1955年に放送されたドラマの『サザエさん』の放送時間は1話あたりたったの5分の放送時間。主演は高杉妙子さんが務め、コント風の生のスタジオドラマだった。
実写『サザエさん』でもっとも有名なのは江利チエミ版だろう。彼女はドラマ版や舞台版なども含めると、一番長くサザエさんを演じている。この実写映画は、ミュージカル要素がかなり多く、往年の名曲を歌うシーンもあった。
また、以降はサザエさん役を榊原郁恵さん、星野知子さん、浅野温子さん、観月ありささん、天海祐希さんが務めてきた。最新作である2019年に放送された『磯野家の人々〜20年後のサザエさん〜』では、タイトル通り磯野家の20年後の姿が描かれ話題を集めた。
ここまで何度も実写化されるということから、同作が本当の意味で国民の生活に密着し愛された国民的作品であることがわかる。どのドラマでも漫画さながらのドタバタ劇は健在だ。