■『昆虫レスラーチョコ』少年が好きな要素全部入り!

 最後は、1984年にロッテより発売されていた『昆虫レスラーチョコ』を紹介しよう。

 100円で販売されていたこのお菓子は、チョコボールに昆虫のフィギュアが付属しており、特に小学生の男子たちには大人気のお菓子だった。最大の特徴として挙げられるのは、変形させることで、昆虫からプロレスラーのような筋肉モリモリの手足を出すことができること。

「昆虫」と「変形」という要素が、少年たちの目を輝かせるキラーコンテンツであることは言うまでもないが、当時はプロレスがゴールデンタイムに地上波放送されていた時代である。加えて『キン肉マン』などのプロレスを題材とする漫画作品が身近にあったことから、子どもたちも空前のプロレスブームの渦中にいたのだ。

 そうした中で発売されたこの商品が、少年たちの間で流行するのは必然であったと言えよう。お気に入りの昆虫レスラーを持ち寄って屋内外問わず闘わせる様子は、令和の子ども社会ではなかなか見ることができない光景かもしれない。

 当時はCMまで放送されるほど人気だった『昆虫レスラーチョコ』。そうした少年たちの盛り上がりをよそに、各家庭で床に転がっている昆虫レスラーに悲鳴を上げた母親たちが続出していたであろう事実もまた、『昆虫レスラーチョコ』が生んだ歴史の一つである。

 

 お菓子メーカーの創意工夫によって、手のひらサイズでも無限に楽しむことができた昭和のチョコ菓子のおまけたち。現在ではプレミア価格が付いているものも多く、その金額からもいかに当時の少年たちが熱中していたかがうかがい知れる。

 人々が幼少時代を懐かしむ心を失わない限り、こうした歴史はいつの時代も繰り返され、守るべき文化として根強く残っていくのだろう。

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