漫画の主人公たちはギミックの腕で戦闘モードに入り、敵を打ち破る武器を装着している強靭な肉体を持つものだ。全身ギミックの『魍魎戦記MADARA』(角川書店)のようなタイプもいるが、多くは片腕がギミックで敵と戦うヒーローだろう。そこで、特殊なギミックを使いこなす強い漫画キャラを見ていこう。
■復讐の剣士は異次元なほど強い! ボウガンと砲弾のギミックを持つ『ベルセルク』のガッツ
三浦建太郎さんによる『ベルセルク』(白泉社)の主人公・ガッツは、人類を超越しているような使徒相手でも一向にひるまない。右目と左腕を失い、親友に裏切られ、仲間も惨殺されて恋人までもが精神崩壊するような凄惨な目に遭っても、復讐のために立ち上がるのだ。
そんなガッツが身につけているギミックは、連射もできるボウガンや、砲弾を放つ大砲を仕込んだ「鋼鉄の義手」だ。肩の関節が外れるほどの威力なのだが、大剣を振りかざすガッツには丁度いい武器らしい。ちなみに、この義手は防御にも使える。
もはや敵が巨大過ぎて生身の人間ではどうにもならなそうにも思えるが、ガッツは異次元の強さで敵をなぎ倒していく。すべては、使徒やゴッド・ハンドへの憎悪と復讐のために戦っているのだが、ガッツの敵はなにも使徒ばかりではない。無愛想なこともあり、普通に人間の敵もどうしても多くなりがちなのだ。ただ、多勢に無勢だったとしても、その大局をひっくり返すほどの剣圧を見せているからすごいのだが。
鷹の団に所属していたころを見ていると、まったくもって復讐から解放してあげたくなるものの、それはガッツが望まないのだろう。
■まるで青年誌の主人公のようだった…サイコガンで圧倒した宇宙海賊『コブラ』
葉巻を持つ主人公といえば、やっぱり寺沢武一さんによる『コブラ』(集英社)ではないだろうか。筆者が少年時代のころ、葉巻は映画の黒幕がこよなく愛するイメージしかなかったのだが、“トルコ巻”というのを『コブラ』ではじめて知ったものだ。
それにしてもこの主人公のコブラ……当時の『週刊少年ジャンプ』は少年少女たちに支持される熱血キャラが目立っていたのに、なんともニヒルで美女をナンパして手を出すような困った男だった。
すでに大人の主人公である両津勘吉の『こち亀』が連載されていたが、両さんは子ども受けするタイプだけに、まるで青年誌の主人公のようなコブラはやはり特殊だった気がする。
そんなコブラの武器といえば、左腕のギミックでもある「サイコガン」だ。サイコガンは精神力を光エネルギーに変換して発射する“サイコ”を砲弾に変える仕様なのだが、強靭な精神力を誇るコブラだけに弾切れもないし、自在に軌道を変化できる優れもの。SF漫画だけに設定がカッコいいではないか。そして、彼のトレードマークの、筋肉質な体が浮き出る赤のスーツにも憧れたものだ。
ちなみに、筆者の小学生低学年時のクラスで、赤のTシャツを着ては“コブラ”と言い張る男児がいたが、まあ可哀そうなくらい女子受けはしていなかったな……。