■とにかく無心で殴る蹴る…『ケルナグール』

 続いては、1989年にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)から発売された『ケルナグール』を紹介しよう。

 マップを冒険し少しずつ強くなれる要素を含んだRPG風の「修行モード」と、2プレイヤーで対戦が可能な「対戦モード」を備えている本作。両モード合わせても70人以上のキャラクターが登場するが、表情はまったく同じで服の色のみが異なるため、キャラへの愛着が湧きにくいのは否めなかった。

 また、対戦もどことなく地味目で、ヌルっとしたパンチとキックでポコポコとひたすら殴り合う。当たり判定がどこにあるかもわかりにくく、相手の攻撃は当たるのに自分の攻撃が当たらないというもどかしさにイライラしたこともあった。

『Nintendo Switch』でもプレイ可能なので、当時プレイしていた人も知らなかったという人も、ぜひトライしてみてほしい。洗練されたゲームが数多くある現在だからこそ、“当時”を感じることができる懐かしの一作だ。

■隠しアイテムを取り損ねれば詰み『スーパーチャイニーズ』

 最後に、同じくナムコより1986年に発売された『スーパーチャイニーズ』を紹介したい。

 画面を縦横無尽に動き回る敵を倒し、脱出用の扉が出現したらそこに入りクリアするというゲーム性だ。単純ながら隠し要素も多く、ゲームの進行に影響を及ぼしてしまうという、昔のゲームらしい理不尽にも思える要素が多く見られた作品でもある。

 のちに「死にゲー」というジャンルが確立されるほど、高難易度なゲームはコアなゲーマーに刺さるというものだ。その理不尽さに負けることなく強靭な精神力を持った子どもたちがプレイした(!?)少々マイナーなカンフーゲームの一つである。

 

 香港映画の影響を少なからず受け、ファミコンにもカンフーという要素を取り入れたゲームがいくつも生まれた。映画を観ずとも、このようなゲームからカンフーの存在を知った子どもたちも間違いなくいただろう。

 子ども時代の思い出を作ってくれるとともに、知らず知らずのうちに時代の流行を教えてくれるゲームは、いつの世でもまったくもって素晴らしいコンテンツであると思う。

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