ドライセンにドアンザク『機動戦士ガンダム』宇宙世紀が生んだ「近接戦が強かった」モビルスーツ3選の画像
バンダイのプラモデル「HG 1/144 ドライセン」(C)創通・サンライズ

 金属同士がぶつかり合う迫力の音や、ビームサーベル同士が干渉しあう独特な音、飛び散る火花。アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズにおけるモビルスーツ同士による「近接戦」は迫力満点だ。同シリーズにはさまざまなコンセプトを持ったMSが登場し、その特性や武器を活かした戦術で活躍しているが、至近距離での戦いに特化したMSの戦いも名場面が多い。今回は宇宙世紀作品の中から、近接戦が特に強かったMSをいくつかピックアップして見ていきたい。

■ドムっぽいけど近接用「ドライセン」

 まずは『機動戦士ガンダムZZ』に登場する「ドライセン」から。頭部のデザインなど「ドム」を思わせるデザインで、見た目からバズーカによる遠距離戦タイプを連想させる機体。試作案ではバズーカが装備され、武装もドムのような機体になる予定だったが、出力不足により近距離戦用に方針転換しているという設定だ。

「ドライセン」といえば、手裏剣のように投擲する武器「トライブレード」を装備しているのが特徴で、これはガンダムゲームにおいては非常に強力な武装になっている。ただ、これはゲームの話で、原作アニメにおいては容易に撃ち落とされてしまい、あまり活躍しなかった。遠距離武器も平均以下である。

 後の『機動戦士ガンダムUC』世代では、技術の向上からかバズーカを装備するようになるが、『機動戦士ガンダムZZ』時点での「ドライセン」は、ビーム・ランサー主体の近距離タイプだった。

 ビーム・ランサーの出力は1.7メガワットと高出力。ビーム・トマホークと連結させることでさらに出力を倍加させ、ナギナタのような形状となってリーチも長くなる。ホバー移動と相まって、ホッケーラケットのような印象を受ける武器である。

『機動戦士ガンダムZZ』の劇中でも、概ね設定どおりの活躍である。傷をつけるのも難しい主役機「ZZガンダム」の胸部を、ビーム・ランサーによる接近戦で、深く切り裂くシーンや、「Zガンダム」を同じくビーム・ランサーによる一撃で撃墜するシーンが確認できる。

「ZZガンダム」は当時、最新鋭のモビルスーツであり、装甲、スピードともに優秀な機体。その「ZZガンダム」に深い傷を付けたのは、量産機としては快挙と言えるだろう。

■接近戦を余儀なくされた「ガンダム試作2号機」

 続いてはOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』から「ガンダム試作2号機」。用途のほとんどが核バズーカであるアトミックバズーカを打つことで、その目的ゆえに、通常使用ができる武装は頭部バルカンとビームサーベルだけ。ビームサーベルは通常のものよりも出力が高いが、出力を上げ過ぎると破損してしまうという、ヅダのエンジンのような欠点を持っている。

 巨大なラジエーターシールドも、核攻撃用の冷却装置を兼ねており、損傷すると核攻撃が十分に出来なくなるという欠点を持つ。そのため迂闊に攻撃を防ぐこともままならない。

 そんなピーキーな「ガンダム試作2号機」だが、トリントン基地からの強奪や、連邦軍観艦式への襲撃といったミッションのため、幾度となく通常の直接戦闘を迫られる。

 強奪任務の際には「ガンダム試作1号機」との直接戦闘が多かったが、ほとんどビームサーベルによる近接戦闘によっていなし続け、観艦式への襲撃を成功させている。

「ガンダム試作1号機」は「ガンダム試作2号機」とは違い、バランスタイプでビームライフルも装備。また、パイロットは新兵の「コウ・ウラキ」だが、試作ガンダムシリーズの開発者であるニナ・パープルトンのサポートもあった。また、他の連邦機体の襲撃の可能性も十分にあり得た。にもかかわらず追撃を掻い潜れたのは、ベテランエースパイロットであるアナベル・ガトーの手腕であろう。

「ガンダム試作2号機」は接近戦が強いのと同時に、接近戦を余儀なくされたモビルスーツでもあるのだ。

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