プレイステーションが発売された1994年当時は、ドット絵からポリゴン3DCGへの移行初期。「次世代機」としてさまざまな3DCGの技法が試されていた時期であり、ゲームのグラフィックがさらなる進化を遂げた時期でもある。また、RPGがまだまだ全盛期だった時代でもあり、各メーカーからそれぞれ趣向を凝らした作品が多数発売された。
そんな時期に生まれたプレイステーション。この時代のゲームの中には今でもファンに愛される名作が数多くあり、移植やリメイクが待望されるタイトルもある。今回はそんなPS時代の名作ゲームをいくつかピックアップして紹介しよう。
■『ゼノギアス』
まずは1998年にスクウェア(現:スクウェア・エニックス) から発売された、RPG『ゼノギアス』。ゼノサーガシリーズ、ゼノブレイドシリーズの原点として知られるPS時代の名作で、SFや宗教や神話などの要素を盛り込み、ハードな作風でそれまでのRPGとは違った世界観を楽しませてくれたタイトルだ。入力するボタンの順番や組み合わせで技や威力が異なる部分と、人間戦とメカ戦の2つの戦闘システムが入り乱れる点など、システム的にユニークで、いまプレイしても非常に楽しい作品のひとつ。
『ゼノギアス』の名作たるゆえんは、その世界観にあるだろう。ストーリーは、序盤から中盤にかけてはガンダムのような巨大ロボット戦争もののテイストが強いが、後半になるにつれて主人公の前世、そのさらに前世が関わるものとなっていき、一気にスケールアップしていく。物語の舞台である惑星の文化の起源や、人間の進化にまで言及が入り、倒すべき敵が神に移り変わっていくといったあらすじだ。
ファンタジー的世界やSF的世界を基本として、宗教や、人類の起源などのテイストも含まれている物語は、壮大かつ複雑怪奇。
現実にもリンクした様々な伏線が散りばめられていて、裏設定も膨大にある。ストーリーはかなり難解になっているが、本筋は王道で最後もスッキリと終わる。なので、ライトに楽しんでも問題無いし、考察しても、かなり深くまで掘り下げることができる作りだ。
■『XI(サイ)』
RPG以外もさまざまなジャンルの可能性を広げたプレイステーション。1998年に発売されたパズルゲーム『XI』は、シンプルながらも中毒性が高いパズルゲームだった。
同作は、当時大学生だった開発チーム・シフトが、ゲームクリエイター発掘オーディション企画「ゲームやろうぜ!」に応募したゲームで、今でいうインディーズに近い性質のゲーム作品だ。そのため発売当時は全く有名ではなかったが、そのシンプルさと中毒性でジワジワと話題を集め、100万本を売り上げるヒット作となった。
『XI』は、悪魔のAQUIちゃんを操りダイスを玉乗りのように転がし、マップ上のダイスを次々と消していくというパズルゲーム。ゲーム画面の中で、プレイヤーが見るのは正方形のマス目で区切られた台と、その上に乗っているサイコロだけだ。プレイヤーはサイコロを転がしていき、同じ目のサイコロ同士を隣り合わせて消していく。というシンプルなシステムだ。
中でも、サイコロが詰まってゲームオーバーになるまで制限時間無制限でプレイできるトライアルモードの中毒性は高く、無限にやり込んでしまいそうになる。
サイコロを転がすだけのシンプルなパズルゲームではあるが、サイコロの性質を理解するのが意外に難解で、上達するのは簡単ではない。サイコロ1つにも様々な法則があり、その奥深さを教えてくれたタイトルだ。
■『パラサイト・イヴ』シリーズ
初代プレステの名作といえば、2023年3月に発売から25周年を迎えた『パラサイト・イヴ』も外すことはできないだろう。瀬名秀明氏の同名ホラー小説を原作としたストーリー、キャラクターデザイン、ゲームシステムの全てが高クオリティにまとまっている。
キャラクターデザインはそれまでデフォルメが主流だったが、『パラサイト・イヴ』は1999年発売の『ファイナルファンタジー8』に先駆けてリアルな頭身のデザインを採用している。そして『バイオハザード』のような3Dアクションアドベンチャーのような見た目ながら、RPG要素が濃い点が特徴だった。
続編の『パラサイト・イヴ2』ではグラフィック面がさらに進化し、より美しくなっている。ポリゴンの荒々しさも少なく、主人公のアヤを筆頭にキャラクターはより生々しくなっており、クリーチャーはよりグロテスクになっている。
非常に質の高いゲームながらPSP用『ザ・サード バースデイ』以降続編はなく、ファンの間では定期的に『パラサイト・イヴ』リメイク版への期待の声が上がっている。長年実現を待っている人は多いのではないだろうか。
■『SDガンダム GGENERATION-F』
2000年に発売された『SDガンダム GGENERATION-F』は初期のジージェネシリーズの総決算的な作品だ。
当時の最新作であるアニメ『∀ガンダム』からは一部のユニットだけの登場となったが、『機動新世紀ガンダムX』以前のガンダム作品、中でも『ダブルフェイク』や『ガンダム・ザ・バトルマスター』、『閃光のハサウェイ』や『新機動戦記ガンダムW デュアルストーリー G-UNIT』など、当時としては知名度が低かった作品も登場している。ディスク3枚組の大ボリュームで、歴代『ガンダム』38作品の中からほとんどのユニットが登場し、それをプレイアブルキャラクターとして使える、その網羅性が貴重なタイトルだ。
『機動新世紀ガンダムX』以前の作品のみでありながら、登場機体は1000機体以上となっていて、ファーストガンダムの「デプ・ロッグ」、『機動戦士クロスボーンガンダム』の「133式ボール」、『Z-MSV』の「量産型百式改」など、他のゲームではほとんど登場しない、マイナー中のマイナー機体も登場する。
そしてもちろん、そういった機体もほとんどを自分で動かすことができ、戦闘アニメまで描かれている。ゲームとしての用途以外にも、ガンダム辞典のデータとしての価値も非常に高い作品と言えるだろう。
3DCGやハードスペック高性能化で、更に多様性が増したプレイステーション時代。あなたはどのようなゲームが思い出深いだろうか?